ぼっちの愉快な人生観! と嘆き

ーぼっち・顔面弱者の「気休め」と「娯楽」の場ー

『顔面弱者』として生まれてきた時点で、もう終わりだよな。

 

 

『顔面弱者』

つまりは、イケメン・美人~フツメン以外の、顔の在り方が悪い者たち「ブサイク・ブス」のことである。 

 

正直言って、「顔面弱者」として生まれてくると、いいことなんかありませんよ。

 

学校、会社。友達関係に、恋人、結婚。

それらの在り様が、何においてもフツメン以下に劣るわけですから。

人生ハードモードが確定してます。

 

当然、ブサイクはブサイクでそれが悩みになっています。

ホント、顔さえよければ大抵のことは努力で何とかなったんですけどね。

 

これに対して、

ブサイク・ブスでいる ← 「なら、努力しろ」ってことを言われるんでしょうけど。

だが、ブサイク・ブスの度合いによっては、何をしてもキモイと言われ、周りから嫌われ、努力するだけ無駄になる可能性があります。

他の人がすることを、ブサイク・ブスが同じことをするば、悪口が当たり前に来ますから。

自分が持っている能力や仕事の出来だって、ろくに評価されません。

 

 

 

『人は外見じゃなく中身』なんて、ただの戯言

 

ネットを見てると、『人は外見じゃない。中身』という意見をよく見ます。

そりゃあ、付き合っていけば「性格」は大事ですよ。

 

でも、でも。

人が求めるものって、結局『優等』であるものなんですよね。

人の『優等』ってつまり、『見た目も性格も良い』ってことです。

 

大抵の人は、付き合う人を選ぶとき、

<選ぶなら>

努力した or 努力しなかったイケメン・美人 →→→ フツメン →→→→→→→→→

努力したブサイク・ブス  

<選ばない>

努力しなかったブサイク・ブス

 

これが基本的な構図です。

この考えに対し、卑屈になっているブサイク・ブスに、「人は外見じゃない中身だろ」「卑屈になってるのがダメなんだよ」って言ったとして、大抵の人間は努力したブサイク・ブスよりも断然イケメン・美人を選びたいはずです。

 

わかりやすい例えを言うと「合コン」。

集ったメンバーにはイケメンとブサイクが混合しています。

そうすると女性側は、100%イケメンに目が行くはずです。

誰しも、そのイケメンと付き合いたいに決まってます。 

 

この局面で、わざわざブサイクの内面を知ろうと思いますか?

 

「お前はいいよ。いらない」

そういうことでしょ。

自分が好きなイケメン・美人がそばにいるのに対し、わざわざブサイク・ブスを選ぶはずがありません。

だからブサイク・ブスは努力しようが、まずイケメン・美人には勝てません。顔が悪いままだと、何においても不利。

 

相手側が付き合うか、よく考えたうえでブサイク・ブスが選ばれるわけです。

つまりは、『妥協されて選ばれる』ということ。

『顔』は、それほど重要なんですよ。

 

 

先ほどのことは、友人関係でも当てはまります。

ブサイク・ブスが良好な友人関係を築ける確率は低いです。

ブサイク・ブスは基本的に、周りからネタにされ、笑いを取るための道具にされます。

 

見下されるし、いじめや顔のことで弄られるのが容赦なくされる。

本人の心も人生も、ボロボロになろうがお構いなし。

  

もしブサイク・ブスがこんな扱いが嫌だと感じているのなら、

もはや、この世に生まれてきたのが人生の失敗と言えるレベルです。

 

この先もその『理不尽』と戦いながら、生きていかなければいけないのですから。

 

学校生活に仕事、友人、恋人、結婚に対し幸せを見出したいと思っているブサイク・ブスにとっては、間違いなくこの世界で生きていくことは地獄ですよ。

 

もう、ただ言えることは「顔さえ良ければ、こんなことにはならなかった…」

でしょ。

 

 

まとめ 

 

また、これを見た時、的確なイラストが「まあまあ」ありました(笑)

張っておきます☟

blog.livedoor.jp

 

 

哲学とかで言われるであろう、「人の命は平等」

…なんて、ただの綺麗事。 

世の中で評価されるのは、まず『顔』。特にこの「日本」ではね。

 

最初からいい顔で生まれてくれば、顔に対して余計な悩み事はないし、自分のことを好きになれる。

そして、そんな顔立ちの人と一緒にいられる周りの人間も幸福を感じます。 

 

 

ブサイク・ブスがクラスや職場と、ある程度そこにい続けても「ぼっち」でいるのなら、もう終わり。

周りからすれば、そいつの「顔」から入って、もう価値はないんです。

いらないんです。

だからがんばった末、「引きこもり」になる確率が非常に高い。

 

ブサイク・ブスは、周りからの扱いの酷さから性格は腐っていき、そうなればそれでより嫌われます。

 

だってそうでしょ。

学校・会社と行けばそう。ブサイク・ブスのことを嫌ってたり、そいつに殺意を持ったりする人たくさんいるよ。

 

 

最初から顔がキモイ奴が生まれてこなければ、こんな悲劇も生まれないよね。

顔がキモイ奴は救われないよ。

 

 

【始めて半年】俺のツイッターの状況見てみろよwww by.HAMARU

ツイッター始めたのは5月。

始めは自分のツイートしてたけど、今となってはほぼ人の猫動画で埋め尽くされてます。

もう、ツイートやるのめんどくさいわ。

人のを見てる方が楽しい。

多分、自分のことは書かない。

 

ツイッターの方でも、ぼっち。

 

twitter.com

 

 

『note』を始めて1か月が経ったけど、もうやめてしまった…。

 そう思ったのも、こちらの記事を読んだからです☟

youbiyanikki.com

 

 

僕が『note』を始めたきっかけは、

やっぱり、「お金」がもらえるということです。

 

僕の場合の「note」への取り組み方は、

「作品を売るために書く」、というつもりでいました。

 

ここで自分の描いた作品が売れたりすれば、お金も入って、読者に自分の作品を喜んでもらえるんで、こちらとしてもすごく嬉しいし、続けていけられると考えてたんです。

 

せっかく時間をかけて書き、ストーリーも頑張って考えてるんで、それでお金がなにももらえないんじゃ割に合わないじゃないですか。

 

だから、手軽に売って、どんどん売れていくようになったらいいなあって思っていたんですけど…。

先ほどの上の記事を見させてもらって、現実を知りました。

 

 

 

実際、物語を書いてた時は、一日の大半を使って考えたり打ち込んだりしていました。

 

これで1円にもならないのなら、やめてしまおう。

手っ取り早くそう思いました。

 

 

ちなみに僕が描いていた作品はこちらです☟


 

「note」にあげていたんですが、ブログに移動させて、「note」の方は消しました。

ちなみに、この作品は完結していない状態です。

 

でも、もうやる気をなくしました。(笑)

またやる気が出た時に、完結まで続きを書こうかと思います。

イラストも載せるつもりでいたんですが、それもやる気をなくしてます。

この作品のイラストに関しては、もう描きません。

 

 

以上のことから、「note」への活動はやめさせてもらいます。わずか1か月で。

 

 

今後は、このブログと、僕がやっているYouTubeへの動画投稿に注力を捧げます。

まあ、このブログの方に関しては、やたらに「愚痴」が多くなります。

そんなブログでも必要と思ってくれる人はいるはずじゃないですか?

 

 

それと、僕のYouTubeチャンネルもこちらで紹介しておきます。


ゲームのプレイ動画やイラスト動画をあげるメインチャンネル☟
https://www.youtube.com/channel/UC23Zuzf6om-olK0DTQXmD_A?view_as=subscriber

 

「太鼓の達人」をプレイしたチャンネル☟
https://www.youtube.com/channel/UCt2Np8bTNqojWW56150f2eg/

 

あるホラーゲームに影響されて、『オリジナルストーリー』書いてみた。

このブログについての詳細は、こちらから☟

www.hamaru80.com

 

 

本編へ☟

 

『マザーズ・ハウス』

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

<登場人物> 

主人公:しおり / 15歳  弟:春貴(はるき)/ 14歳  母:ゆかり

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

【序章】

 

15歳の私には、特に不快に思っているのが「2つ」ある。

 

1つは、私の母。

 

私の家族は4人。

弟の春貴がいる。 父はいるけど、今は単身赴任だ。

 

問題の母。

私は母を好きか嫌いかと言えば、嫌いではない。

一言でいえば母は「頑張り屋」なのだ。

あまり弱音を言わないし、私たちのことをいつも想って頑張る。

もしかしたら無理をしているのかも。

 

時々それが重いんだ。

こちらとしては「お節介」とも言える。

いつか、「良くしてきたんだから、いい人でいなさい」という考えを押し付けてくるかもしれない。悪気はなくても。

 

そんな疑いが私にはあるから、この頃。母に苦手意識がついて、距離をとっていた。

もし父がこの家にいたら、母と私の在り方は違っていたかもしれない。

 

 

そして、もうひとつ。 

私が不快に思っていることは「この家」。

「不快」と言うよりも、「不吉」になるかな。

 

私はこの家には、『霊』がいること知っている。

 

この家に来たのは、私が小学生のころ。つまりは引っ越したのだ。

その霊が私の近くにいた時は、毎回『悪寒』を感じていた。 

ちなみに、実際に姿を見たことはない。

 

最初の頃は悪寒を感じた時は、風邪をひいたのか、体調が悪いのか? 

その程度にしか考えていなかった。

でも後になって、それが「霊」なんだと信じるようになっていた。

 

この頃、悪寒を感じる症状が強まってる。

なにがきっかけでそうなったのかはわからない。

そんなんでも私の生活に、なにも支障はないから無視し続けてきた。

気にしてたら負けだとも思ってたし。

 

弟と母の方は、この家に霊がいることを感じているのかはわからない。

二人は気づいているのか?  

なんか聞くのも嫌だった。

 

そんな日常を送っていた私に、 ついに、ある夜。 

悲劇が起こった。

その夜は、私と母が大喧嘩した日だった。

 

私たち一家に危機が迫った事件だったんだ。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

【きっかけ―――】

 

《 『19:20』 ❙ リビング 》

 

私と母はこの時間、リビングで話をしていた。

私は母の話に「またか…」と、呆れた態度で対応していた。

その時は、『進路』についての話をしていた。

 

 

私がそんな態度するのも―――、

この頃、母が私に求めている『理想の人物像』 

というか、私に対して期待の眼差しが大きくて、「高校生になったんだから―――」と母が口を開くたびに、そんな内容の話が多くて、正直私はうんざりしていた。

もちろんそれは、弟の春貴にも向いていた。

春貴も『母の期待』にうんざりしているかもしれない。詳しくは知らんけど…。

 

でも、絶対私の方が期待を大きく向けてるから! 年上だから!?

それも腑に落ちなくて腹立つ!

 

母と話そうとすれば、そんな内容の話が出てきそうで、距離を取るようになったし、あっちから話しかけてきた時は、私はそっけない態度をとることが多くなっていた。

それが私たちの日常になったから、家庭内の空気がピリピリしていたと思う。

 

こんな中で、母は私をどう思っていたかはわらない。

 

 

今夜も同じように、私は母の話を右から左に受け流していた。

そしたら母は、私の態度に我慢ができなくなったのか、若干ヒステリックに。 強めの口調で話しかけてきた。

私は対抗して、強く言い返した。

 

母も熱が入って、この場でいらない文句を言いだしていた。

「そんなだから、アンタは―――!!」  とか…。

 

私はキレてしまい、ついに母に対し、自分が溜め込んでいた感情を乱暴に吐き出した。

 

…………

私は言いたいことを言った後、リビングから荒々しく出ていき、自分の部屋に向かった。

向かう途中、母が泣いたかもしれない。そんな声が聞こえた気がした。それとも気のせいか?

 

階段を上って2階へ行く。左側の壁にドアが二つ並んであり、奥の方が私の部屋のドア。

部屋に入って、しばらくイライラが収まらなくて、ベッドの上に乱暴に乗り、布団にくるまった。

ポッケからスマホを取り出して、画面を見る。

 

そういえば、リビングを出てここに来るまでに、悪寒を感じたような気がした。

でも、イライラしてた感情が強かったから、気にならなかった。

しばらくスマホをいじっていた。

 

 

―――何時だったのか? 

私はいつの間にか、寝落ちしたようだ。

 

いつもはこんなに早く寝るわけじゃないのに、 今日はなんだか…、

体がだるかった……。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

【夢から始まる】

 

私は寝ている間、夢を見ていた。

 

夢の内容。 始めはどんな感じだったかは、あまり覚えていない。

最初は家の中にいたと思う。

でも、いつの間にかどこか知らない場所に来ていた。

 

暗い空間。

その奥に光があった。 スポットライトで照らされたような形の光。

その光の中に人影がある。

 

「あれ、 お母さん……?」

 

光の中に近づく。

見ると母はうずくまって、泣いていた。

でも、その姿ははっきりと見えたわけではない。

なんかモヤがかかってるような、ブレているカンジ?

 

…………

 

母が泣いている姿を長い間見させられていたと思う。

嫌な夢だ。

 

でも。

母の泣いている姿を見て、

私はだんだん申し訳ない気持ちになっていった。

 

 …………

 あの時。

 私も、悪かったよね…。 

 あんな言い方……。

 

私は迷った。

この夢が覚めたら、母に謝るべきか?

 

なんか、 今だと、 ……あまり会いたくない…。

気まずくて……。

 

しばらくの沈黙。

 

その時―――、

自分の後ろに誰かいるような気がした。

後ろを振り向く。

 

そこには、黒い影がいた。

「え…」

その影は、私を包み込むかのように迫ってきた。

そして―――

 

 

 

「痛っ!」

頭に衝撃が走った。

それだけでなく、ベッドから放り出されたような感覚に襲われ、

そのまま床に落ちた。

 

「(殴られた…?)」

私は夢から起きた。

寝起きの状態のため、意識がはっきりしない。

ただ、頭に殴られたような痛みがあった。

 

しばらく頭がぼーっとしてて、部屋の辺りを確認することに時間がかかった。

部屋が暗くてよく見えない。

 

その間にも周りを見たけど、「誰か」がいたような感じではなかった。

 

だんだん暗闇から目が慣れてきて、暗くても部屋の全体が把握できるように目が慣れた。

 

「(誰も… いないよね…)」

 

ゆっくりと立ち上がり、とりあえず部屋の電気をつけようと思った。

「…………」

「あれっ?」

電気がつかない。

何度かスイッチを押しても、明かりがつくことがない。

「停電?」

 

そう思ったけど、私はすぐにスマホのことを思い出して、ベッドの中から手探りでスマホを探した。

無事見つけて、画面をつける。

時間を見た。

 

「(12時ちょうど…)」

不気味にも、画面の時刻には『0:00』とある。

 

――――――――― 

 

 

【霊】

 

嫌な予感がする。

私の中に、「焦り」が生まれた。

 

さっきの「夢」のことといい、 

私が「誰かに」? 攻撃されたこと。

「黒い影」

 

私はまた部屋の辺りを見渡した。

 

「なにもない…。 

 なにもおかしいことなんてない!」

「……そう、だよね…」

 

部屋を何度か見渡した後、またスマホの画面を見た。

『0:00』

数字は変わっていない。

 

その時突然、スマホの画面の明かりがパッと消えた。

「えっ!?」

ボタンを押す。何度も。

でも、反応はない。

 

「そんな…!  ウソでしょ……」

 

明らかに「なにか」が起こっているのがわかった。

血の気が引いていく。

 

その時、私はなにを思ったのか、

一つの考えが頭によぎったんだ。

それは、

 

『この家に潜んでいる、「霊」が関係してるのかもしれない』

ということ―――。

 

私は今まで何度か、その存在を感じていたけれど、

生活に支障はなかったから無視していた。

 

じゃあ、もし「そいつ」がこの状況に関係していて、

その存在が今、無視できないことになっているとしたら―――?

 

自分の部屋に来るまでに感じた「悪寒」……。

 

「…………」

「……どうしよう…」

頭の中が真っ白になっていく。

 

もし「そいつ」の仕業だとしたら、私はどうなる?

今までなにもしてこなかった「そいつ」が、なにかしてるとすれば。

こんな状況、今までなかったんだから、もうほかに―――!

 

そう考えるたびに、

心臓が締め付けられていく感覚と、背筋が凍る悪寒に襲われた。

この部屋全体の空気がおかしくなっている。

 

「……! 何これ!?」

身体の体調が一気におかしくなった。

 

この家に潜んでいる「そいつ」が、「そうだそうだ」と主張しているのかのように。

あの、今までの日常で何度か感じてた、身体が震える悪寒。 

霊が私の近くにいた時の感覚を覚えた。

 

それも徐々に強まっていき、私の心を埋め尽くそうとしていた。

 

「…いる」

「アイツ」がいる。

それが私のそばにいるのか? ドアの向こうにいるのかわからない。

でも、「アイツ」がいるのはわかる!

 

体が動かない。

その場でうずくまり、震えながら、思わず言葉が出た。

 

「私…  殺されるの…」

かすれた声で、そうつぶやく。

…………

 

考えたくない! 考えたくない! 考えたくない! 考えたくない!!!

 

恐怖で頭がおかしくなりそうだった。

心臓の鼓動が激しい。

体の震えが止まらない。

 

ただただ、「絶望」が襲ってくるばかりだった。

 

 ウソだ

 このまま、  

 このまま私は、 終わるの?

 このまま、 アイツに襲われて、  死んで、

 春貴も、 お母さんも……。

 

 春貴…   お母さん…?

 

私はハッとした。

「(そうだ! 春貴とお母さんは―――!?

 春貴とお母さんは無事なの!?)」

 

弟と母の存在が、

私の心と体を動かした。

 

母とは喧嘩したけれど、あれはさすがに私が酷かったと思う。

だからその時のこと、今では後悔してるし、謝りたい。

もしここで母の身になにか遭ったら、謝れなくなる!

それに、この場で私が本当に一人だったとしたら、とっくに私の精神は恐怖で壊れてたかもしれない。

 

私は立ち上がった。

足が震えてる。

足が震えてて、歩きにくかったとしても、

弟と母の無事を確認しに行かなければならない。

 

恐怖や悪寒、心臓が締め付けられる痛み。

二人のことを想って、それらを無理やり振り切って、私はドアの前まで行った。

 

「(ドアを開けて、廊下に出なきゃ)」

…………

 

開けた先に、

「アイツ」が待ち構えてるかもしれない。

そんな予感もあった。

 

でも、   でも! 

部屋を出て二人のもとに!

 

ドアノブを回して、ドアをゆっくり開ける。

「アイツ」がいないことを、ただ祈って―――。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

【弟】

 

「…………」

私はドアの隙間を見る。

 

「……いない」

ドアをもう少し開けて、顔を出して廊下を見る。

あたりは暗い。

 

でも、なにかいるような感じではなかった。

アイツがいないことをとりあえず確認できた。

少しの安心感があった。

 

そのまま廊下に出てみると、不思議と心と体がさっきよりも軽くなった。

部屋にいた状態では、悪寒や心臓が締め付けられる痛みに苦しめられたのに。

 

もしかしたら、心の弱みに付け込まれたのかもしれない…。

アイツの存在を思い出したときに、一気に体調が悪くなったから。

そんな考えもあった。

 

 

暗闇の中、私は壁に手を付けながら進む。

まずは弟、春貴の確認から。

 

春貴の部屋は私の部屋の隣だから、すぐにでも春貴の安否を確認できる。

そう思っていた。

 

―――そのはずなのに、

春貴の部屋のドアまでに距離があるように感じた。

 

おかしい。

歩けばすぐに着く距離なのに、歩いてもなかなかたどり着かない。

そもそも、ちゃんと前に進んでいるのかもわからない。

暗闇の中だから、家の中を確認することなんてできない。

 

もう、自分の家じゃないところにいるのかもしれない。

私の感覚もおかしくなってるのかも……。

 

…………

不安が出てきた。

その感情を抱えながら、私は春貴の部屋を目指した。

 

気付いた時にはドアが見えた。

 

「ドアが開いている…?」

ドアが見えたのは、少し明かりがあったから。

それは電気の明かりじゃなくて、外の明かりが部屋に入っているからだろう。

 

このまま春貴の部屋に入ろうと思った。

―――でも、足が止まった。

 

だって、「アイツ」がいるかもしれないから。

 

そもそも部屋のドアが開いているのがおかしい。

それは、アイツが部屋に入ったためなのか? 私を誘っているためなのか? 弟はすでに部屋にいないか?

安易に部屋に入れば、閉じ込められるかもしれない。

 

不安が大きくなる。

考えばかりが頭を巡って、一歩を踏み出すことができない。

 

「…………」

「(…いや。  

 私は春貴が無事なのかを見に行かないといけない。

 そのために来たんだから!)」

 

覚悟を決めた。

開いていたドアから、春貴の部屋の中を見る。

 

そこには、 春貴が倒れている姿があった。

 

 

【この家の現状】

 

春貴の部屋の窓。

カーテンが閉められていないから、外の明かりが入って春貴の姿が見えた。

 

しおり:「春貴!!」

私は春貴のそばに行った。

体を揺らして、名前を呼ぶ。

しおり:「春貴! ねえ、春貴。 どうしたの、起きてよ!

ウソだよね…。 ねえ、起きて!!」

 

意識がない。 

しおり:「(もしかして、アイツに襲われた!? 手遅れ!? ウソだ!!)」

春貴の体を強く揺らす。

 

それでも目を覚まさない。

 

私の心は不安でいっぱいになった。

春貴がこんなことになって、命があるのかもわからない。

スマホが使えないから、当然救急車なんて呼べない。おそらく家の電話も使えない。

もしかしたら、お母さんも同じことに…!?

 

そしたら、私は一人。

そうなったら、私は… 私は―――。

 

声はかすれていき、涙がこぼれそうだ。

不安に押しつぶされて、そのまま崩れ落ちそうになった。

その時。

 

「…………  …ん」

 

春貴から声が聞こえた。

しおり:「…っ!」

私はハッとした。

 

春貴は苦しみながら、身体を少しずつ動かしてる。

意識が戻ってきてるんだ。

 

しおり:「春貴…!」

春貴:「……」

春貴:「……え」

 

春貴は目を開けられるようになった。

春貴:「……姉ちゃん?  なんで…」

しおり:「春貴、大丈夫…?」

春貴:「あっ!  …っ――。

 ごめん… まだ、めまいがする」

 

頭を押さえながら、なんとか起き上がろうとする春貴。

しおり:「もう少し、休んでて」

もう! 目ェ覚ますのおっせえよぉー

というイラ立ちもありながら、私は一先ず安心した。

 

しばらくして、春貴は話せるようになった。

春貴:「…ここ。俺の部屋だよなあ?

 姉ちゃん、なに勝手に部屋入ってきてんだよ」

しおり:「うっさい! それどころじゃないんだよ」 

春貴:「は……?」

春貴は、なにが起きたかわからない感じでいた。

 

しおり:「…………。

 春貴、 なにがあったか話せる?」

春貴:「…………」

しおり:「どうして、倒れてたの?」

春貴:「…やっぱ、倒れてたのか…」

 

春貴は、その時のことを思い出そうとしていた。

 

春貴:「…あの時は確か、 部屋にいて、 椅子に座ってて…

 何時だったか?」

春貴:「あんま覚えてないけど…、なんか急に変な感覚に襲われて。 

 その後、めまいがしたんだ」

春貴:「俺、 これはヤバイなって思って、椅子から立った時に目の前が真っ暗になって、意識が飛んで…。

 そのまま、倒れたのかも……?」

 

春貴は、自分に起きたことを思い出しながら話した。

しおり:「……それって、貧血なんじゃ?」

春貴:「はあ? んな急に貧血になるかよ」

春貴:「とにかく…、

 あっ、そう! めまいする時に、地震が起こったような!

 ……いや、俺の勘違いかなあ…?」

しおり:「(地震…?)」

 

はっきりしない感じの春貴。

 

でも、わかるのは、

私の身に起こったこの家の異変を、春貴も体感したんだ。

やっぱり私だけじゃなくて、「アイツ」はこの家を。

私たち全員を―――。

 

 

春貴:「ていうか暗いし…。 電気は?」

春貴は部屋の辺りを見る。

しおり:「…電気は……。 

 どうせつかないよ…」

春貴:「?」

わざわざスイッチを押しに行かなくてもわかる。

もうこの家は、アイツのせいでおかしくなっているのだから。

 

私は確認のために、春貴に聞いた。

しおり:「弟、 スマホは使える?」

春貴:「?  スマホはぁ……。 机の上だ」

春貴は暗い中、机の場所を確認しながら手探りをして、机の上のスマホを探した。

すぐに見つけて、ボタンを押す。

 

春貴:「あれ? つかない…。 充電なかったか?」

しおり:「貸して」

春貴:「あ」

私は、ボタンを何度か押して確かめる。

 

しおり:「……。  やっぱりね」

やっぱりスマホは使えなくなっていた。

春貴:「スマホがなんだよ」

春貴が不審を抱く。

 

私は春貴に、

この家の今の状況を説明することに決めた。

しおり:「春貴  …とりあえず。 

 今起こっていること、話そうと思うんだけど。 いい?」

春貴:「…んん? ……なんだよ」

私の真剣な態度に、不安になり始める春貴。

しおり:「(…でも、どう話すべきか?)」

 

 

【敵】

 

春貴は「アイツ」の存在を知っているのかすらわからない。

うまく理解してもらえるように、なんとか話をまとめないといけない。

母が無事でいるのかも確かめなけらばいけないし。

急がないと。

 

しおり:「…春貴。 

 はっきり言って、今のこの家は危ない」

しおり:「あんたが倒れたのも、それはこの家に住み着いてる『霊』のせいなの」

春貴:「……!」

私の言葉に驚く春貴。

  

春貴:「霊……。  それホントかよ?」

信じることができない様子でいる春貴。

やっぱり春貴は、「アイツ」の存在のことを知らないのかも。

 

春貴:「いるのか…? この家に…」

しおり:「……うん」

私は答えた。

 

春貴:「マジかよ……。 

 この家が危ないって…。  それは『悪霊』とかなのか?」

しおり:「…………。

 それは、わからない…」

しおり:「でも、 私はこの家に、霊がいることは知ってたの」

しおり:「見えたことはないけど、何度か感じたりはしてた」

春貴:「え……」

春貴に不安の気持ちが強まった。

 

春貴:「じ、じゃあ、それが本当なら。 

 俺が変な感覚に襲われて倒れたのも、 そいつのせい……」

春貴:「…姉ちゃんは!?  なにかあったのか?」

 

しおり:「…まあ。 あったから、あんたにその『霊』のことを話してるんでしょう? 

 結構、ヤバイ状況だと思う…」

春貴:「は、大げさじゃないか? 

 そいつが前からいたなら、なんで今になって俺たちに!?」

しおり:「わっかんないよっ!」 

 

しおり:「でも…。 

 これからもっとヤバイことになりそうな予感がするの」

しおり:「そいつが私たちをどうする気か、わかんないけど―――、

 ……無事ではすまないかも…」

春貴:「……は…。   ウソだろ…」

 

 

春貴の声が震え始めた。

春貴は私の様子を見て、ようやく危険な状況に立たされていることを理解した。

しばらく沈黙になった。

家の中が異様に静かだ。

 

しおり:「春貴。 私はこれからお母さんのところに行きたい…。

 お母さんが無事なのか、それを確かめないと…」

春貴:「…………」

しばらく考え込んでいる春貴。

 

春貴:「…このまま、部屋を出ていっても大丈夫なのか?」

しおり:「…………」

 

それはわからない。

アイツが家の中を彷徨っているとしたら、どこかで会ってしまう。

そしたら、私たちはおしまいかもしれない。

 

しおり:「……それでも、 お母さんを助けに行かないと…」

私の考えは変わらない。

しおり:「春貴、あんたは―――」

 

そう私の言葉は途切れた。

しおり:「…!」

言葉が詰まった。

 

そうなったのも、急に「なにか」を感じたからだ。

「(えっ!? まって!)」

 

来る。

なにかが来る。

 

―――!

いや、もう来てる。

 

何度か感じたことのある『悪寒』。

霊が近くにいた時に感じる悪寒は、そんなものを感じる暇もないほどの早さで、それは来ていたのだ。

 

私は、勢いよくドアの方を向いた。

 

 

そこに、開いていたドアから、

 

『黒い人型』がこっちを見ていた。

 

しおり:「いやあああっ!!!」

 

私は短くても、今までで出したことのない叫びをあげて、そのまま固まってしまった。

頭が停止して、なにも考えられなくなっていた。

何秒間、いや何分間その場で固まっていたのだろう?

その間、呼吸をしていたのかすらわからない。

…………

………………………

 

 

「………ん」

「………ちゃん」

声が聞こえた。

春貴:「姉ちゃん!」

しおり:「…!」

その時には、春貴が私を呼んでいたんだ。

 

しおり:「………春貴…」

春貴:「はあ~……」

重いため息をつく春貴。

春貴:「おいおい、今度は姉ちゃんがどっか行っちまってたのかよ…。

 さっきまでは、俺が倒れてたのにさぁ~」

 

私はドアの方を見た。

気付いた時には、その『黒い人型』はいなくなっていた。

 

今私は、安心しているのかはわからない。

しばらく自分の感情がどうなってるのか、自分で確かめることができなくなっていた。

胸が苦しい。 

今更、心臓の鼓動が激しいことに気づいた。 吐き気がする。

 

春貴:「なあ、姉ちゃん…。 

 こんな状態で悪いけど―――」

春貴が言葉を濁した。

 

春貴:「見えちまったんだよ。 俺にも……。

 あの、 黒いモヤが」

しおり:「(黒いモヤ?)」

春貴にはアレが『黒いモヤ』に見えたのか?

私には、はっきりとまではいかないけど、『人型』に見えた。

 

気付けば、春貴が震えてる。 それが伝わってくる。

……当然か。 

アレを、春貴も見てしまったのだから。

 

春貴は暗い声で言った。

春貴:「姉ちゃんの言ってたことが正しかったよ……」

春貴:「アレを見て、俺もはっきりわかった。

 このままでいたらヤバイって……。 

 すごく、嫌な感じがした……」

春貴もわかってくれた。

 

春貴:「なあ…、 これでも、

 ……本当にお母さんを助けに行くのか?」

しおり:「…………」

 

あの『黒い人型』を見た後で、

今でも母のもとに行くことを決められるのか?  私は―――。

 

それがどんなに危険なことになるか?

どんなことが待ち受けているのか?

 

………………。

それでも―――、

考えるだけ無意味かもしれない。

 

ここでじっとしていても、私たちは助からないから。

今までなにもしてこなかったヤツが、あんな姿になって私たちのもとに現れたんだから。

間違いなく、私たちは無事ではすまない。

 

しおり:「行くよ。

 お母さんを助けに行かないと」

私の考えは変わらない。

 

春貴:「正気かよ…。 あんなヤツが家の中にいるってのに……」

しおり:「春貴。 私は三人で助かりたい。

 お母さんを連れて、この家から出るの」

春貴:「家から出る? それでどうすんだよ!」

しおり:「後のことは、ここから出れたら考えればいいでしょ。

 まずは、お母さんに会わないと…」

 

春貴:「…………。

 怖くないのかよ……」

震えた声で春貴がつぶやく。

しおり:「怖いよ。 死ぬほど……」

 

 

このままなにもせず、どうせアイツに殺される運命なら―――、

それに抗う選択肢しか、助かる道はない。

 

まずは、母のもとにたどり着くんだ。

 


――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

【廊下へ】

 

私たちは見てしまった。

 

おそらくアレが、私たちをこんな目に遭わせている元凶。

この家に潜んでいた霊の姿。

春貴には『黒いモヤ』に見えたみたいだけど、私には『人型』に見えた。

…………

 

あの時、

なぜ姿を見せておいて、いなくなったのか?

それは謎だ。

私たちに、なにもしなかったなんて……。

でも、そのおかげで無事なのも事実。

 

私は立ち上がった。 体に力が入りにくくなっていたけど。

 

しおり:「春貴。 動ける?」

春貴:「…うん」

しおり:「じゃあ、  いくよ。

 ……準備はいいね」

問題の、母が無事であるのか? 

 

春貴:「…今から、お母さんを助けにか?」

しおり:「そう。

 このままじっとしてたらダメなの、アンタにもわかってるでしょ」

春貴:「ああ……」

春貴:「けど……。  ちょっと待って」

春貴は重くため息をついた後、クローゼットの前まで行き、開けてはなにやら探し始めた。

暗いから手探りで、ある「モノ」の場所を確認していた。

 

春貴:「…よし。 これだ」

春貴は手に取ったものを見せてきた。

しおり:「バット…?」

窓の外からの明かりで、バットの形が見えた。

そんなものをクローゼットの中にしまってたのか。

 

春貴:「用心のためだ」

しおり:「うん」

私は無いよりはいいと思った。

ここからは、危険な行動に入るんだから…。

 

私たちはドアの前まで来た。 ドアは開いている状態だ。

しおり:「じゃあ…、  行くよ。

 絶対に、側を離れないでよ」

春貴:「うん」

 

私は深呼吸をした。

そして、ゆっくり   廊下を覗いた。

…………

 

なにかいるような感じではなかった。

「(今のうちに!)」

私たちはそそくさに、 静かに、 廊下に出た。

私が先に行き、後ろに春貴が続く。

壁に手を付けながら、腰を少し低くして進む。

このまま階段まで行き、1階に下りよう。

 

家の中。

暗闇であっても、窓から入るわずかな外の明かりで、家の中が少し見える。

 

しおり:「春貴。  一応言っておくけど…」

春貴:「?」

しおり:「今の家の中は、 アイツのせいでおかしくなってる」

しおり:「私がアンタの部屋に行くときに、無駄に距離があるように感じたし、 前に進んでいるのか?  …方向の感覚が変になってた」

春貴:「…………。

 そう、  みたいだな…」

しおり:「だから、用心してね」

春貴:「…わかった」

 

私が春貴に言った通り、

やっぱり廊下の在りようが変になっていて、春貴の部屋に向かう時と同じ感覚になっていた。

階段に着くまでの距離が長い。

 

春貴:「……なあ。  …まだなのかよ…。  おかしいぞ」

しおり:「しっ。 慌てないで」

ここで焦るのは禁物。

心を乱せば、そこにつけこまれる。

すでに私は経験済みだから…。

 

だけど、私が春貴の部屋に目指してた時と、今の状況。

違うところが一つあった。 それは、

微妙でも、『あの「黒い人型」の存在感を常に感じていること』。

 

しおり:「(……なんで? 

 春貴の部屋に行くときは、アイツのこと、感じなかったのに!?)」

 

アイツの気配というか……、

近くにいるような気がしてならない。

体が身震いする。

もしかしたら、後ろからついてきてる!?

…………

 

ダメだ! 考えちゃダメだ!!

大丈夫…、 大丈夫…、 大丈夫。

 

無理にでも私は、最悪の予想を振り払った。

「心を乱したらダメなんだ」

 

そして、

自分を騙し続けた末、ようやく階段のところまで来た。

 

 

【階段を下りて】

 

階段の前で一息入れる。

しおり:「この階段も…、 きっと、 おかしくなってるハズ」

しおり:「だから…、 廊下の時と同じように、焦っちゃダメだからね」

春貴:「ああ、 わかってるよ…」

 

壁に手を付けながら、私たちは階段を下り始めた。

一段目に片足を付ける。

大丈夫なのを確認して、もう片方の足を一段おろす。

家の中が暗いから、階段の在りかを足で確かめながら下りるしかなかった。

時間は掛かるけど、それを何度も繰り返した。

…………

 

やっぱり、階段も 距離が長い。

ただ階段を下りるだけなのに、結構な時間を要してる。

あまりにも長く感じるから、私は自然と焦りが出てきた。

 

「(……ダメダメ! 落ち着け)」

自分に無理にでも、勇気づける。

私と春貴で、母を助けに行かなければ!

「(お母さん  無事でいて!)」

 

母を想う気持ちで、自分を保つ。

その時でも、やっぱり

あの『黒い人型』の存在感を、常に感じ続けていた。

それでも、 ただ階段を下り続ける。

…………

 

しおり:「…!」

片足を出したら、段差がなくなっていた。

どうやら、無事に階段を下りきることができた。

春貴も後についてきて、1階につく。

春貴:「ふうー……。

 …ようやくだな」

しおり:「うん…」

 

まずはここまで、二人とも無事にこれた。

でも、 本番はきっとこれからだ。

 

しおり:「(まずは、どこへ向かうべきか…?)」

母がいそうな場所。

もしくは、春貴と同じようにどこかで倒れているかもしれない。

この1階の廊下、リビング、トイレ、洗面所、母の寝室。

 

母がアイツに襲われて倒れたと仮定するなら、

その時間帯はいつなのか―――?

その時間で、母のいそうな場所が絞れる。

私は逆算して考える。

 

その時、春貴から

春貴:「一様…、 玄関に行ってみようよ。

 ドアが開くか確認したい」

春貴の提案に、私は少し考えた。

しおり:「……う~ん」

玄関か。

私たちが、このおかしくなった家を脱出するための「逃げ道」。

しおり:「わかった。 確認しておく必要があるかも」

そう決めた。

私たちは一先ず、玄関に向かうことにした。

 

玄関は階段を下りた先のすぐだから、早く着いた。

まさか、母がここにいることは考えていなかったけど、やっぱり母の姿は見当たらなかった。

春貴が玄関のドアに向かい、ドアノブに手を伸そうとする。

 

が、 その時私はハッとした。

しおり:「春貴!  

 ……やめておこう…」

春貴:「な、なんだよ…!?」

私は春貴を引き留めた。

嫌な予感がしたからだ。

 

しおり:「もし、 下手に家から出ようとする行動したら、

 ……アイツがでてくるかもしれない」

春貴:「…!」

しおり:「アイツが来たら、私たちはどうなるかわからない……。

 お母さんを連れていく前に、 ……出くわしたくない…」

春貴:「…………」

しおり:「このドアに触るのはやめておこう」

春貴:「わかった……」

私と春貴は、玄関のドアが開くのかの確認はあきらめた。

 

結果、無駄な行動をとってしまった。

ここから急いで母を探さなければ。

でも、肝心の母がどこにいるのかわからない。

 

春貴:「…最初は、どこを探すんだ?」

春貴がたずねてきた。

私は考えた。

私の線では、「リビング」にいる可能性が一番あると思った。

 

しおり:「リビングに行ってみようと思う。 でも……」

春貴:「でも…?」

しおり:「…………」

春貴:「……? なんだよ」

私はリビングに母がいる可能性があるから行きたいと思った。

でも、なんだろう……?

 

しおり:「リビングは……、 一番危険な気がする……」

春貴:「…………。 

 じゃあ、どうすんだよ?」

リビングが駄目なら、

しおり:「……お母さんの部屋」

母の寝室。

その部屋にも、母がいる可能性が十分ある。

 

春貴:「確かに、 いるかもな…」

しおり:「行ってみよう」

私たちはまず、母の寝室に行くことに決めた。

 

 

【霊が現れた原因】

 

私は母の寝室に向かって歩き出そうとした。

でも、春貴が後ろからついてきてくれなかった。

しおり:「…? 春貴…」

 

春貴はなにか考えてる様子でいた。

そして、少ししてから私に問いかけてきた。

 

春貴:「……なぁ。 こんな状況で言うのも、悪いんだけどさ…。

 ずっと、引っかかってるんだよ…」

しおり:「…?」

春貴:「俺たち、 ここまで無事でいるけど…。  アイツ…」

春貴:「この家にいる『霊』は、本当に俺たちを狙ってるのか?」

しおり:「え……?」

私は春貴の言葉に、少し困惑した。

 

春貴:「だって、おかしいだろう? 

 ……俺たちを襲う気でいるのなら、ここまで歩いてきて、

 まだそいつは出てきてない」

しおり:「…………」

春貴:「俺たちを襲う気でいんのに、こんなに先延ばしにしてる…」

春貴:「あの時……。 俺の部屋のドアから一回出てきた後、そのままいなくなった……。

 意味がわからないだろう?  アイツは、なにがしたいんだよ……?」

 

それは、私にも謎だ。

私にも、アイツ―――。

あの、『黒い人型』の意図はわからない。

…………

 

しおり:「……でも、  考えたところで答えは出ない。

 そうでしょ?」

春貴:「…………」

しおり:「アイツのことなんて、わかんない…。

 わかんないけど…、 危険なのは確か……」

私の返答に、春貴は頭を抱え始めた。

おそらく、春貴には納得がいかないのだろう。

 

春貴:「わけわかんねぇよ……」

春貴:「なんで、今日。 こんなことになったのかも…、 

 なにもかも……」

春貴が思い詰めている。

 

そして、春貴はその場でしゃがみ込んで、俯きながら、

苦しそうな声を出し始めた。

 

しおり:「…!」

春貴の唐突な行動に私は驚いたけど、

その様子を見てすぐにわかった。 

このままだと、春貴の心が崩れそうだった。

 

そうか…。 

私は気づいていなかった。

春貴はここに来るまでに、無理をしていたのかもしれない。

なにが起こっているのか、わけもわからず、

それでも私について来てくれて、いつアイツに襲われるかもわからない恐怖を抱えてきたから、

春貴の心はボロボロになっていたんだ。

 

今のこんな春貴。

私が自分の部屋にいて、アイツの存在を感じた時と同じだ。

 

しおり:「(マズイ…!)」

春貴が落ち着きをなくしてきてる。

「(どうしよう!)」

春貴がこんな状態でいられたら、私もダメになりそうだ。

二人でいたから、私は強がっていられたのに!

 

 気付いてあげられなかった……。

 私は…。 

 私は…、 どうしたら―――!

 どうしたらいいの!?

 …!

 

とっさに考え付いた。

そして、私は春貴の肩に手を置いて、

自分が考え付いたことを言った。

しおり:「春貴、聞いて!」

春貴はまだ顔をあげてくれないが、それでも言った。

 

しおり:「今、私たちがこんな目に遭ってる原因…。 それは…、

  私なのかもしれないの!」

春貴:「!!」

私は今、とんでもないことを口走った。

 

春貴が顔をあげた。

春貴:「え…!?」

春貴が困惑している。

私は続けて言った。

 

しおり:「アイツ…。  この家に潜んでいた『霊』は…、

 元からこの家にいたのに、今まで私たちにはなにもしてこなかった…」

しおり:「けど、今になってこんなことになってる。 

 …その理由―――。 それは、

 私の取った行動がきっかけで、アイツを突き動かしたんだ…」

しおり:「私の『なにか』で、アイツは突然出てきたけど、

 『きっかけ』はなんだったのか?  たぶん…、

 もう、 わかってるんだと思う…」

しおり:「私が昔から、その霊の存在を感じていたこと。

 きっと、 私とアイツになにか『つながり』がある!」

 

春貴:「それって…! 

 …え、  …え!?」

春貴は私の言ったことに、驚きで言葉が詰まっている。

 

しおり:「アイツを突き動かした『きっかけ』がわかるなら…、 

 その解決だって、私は知ってるハズなんだ…」

春貴:「解決……、 だって…?」  

春貴:「知ってるのか…?  その方法が!」

私は静かに頷いた。

 

例え、それが―――。

私が春貴に言ったことは、

『でまかせ』だったとしても。

 

私はもう勢いで言ってしまったから、後には引けない。

でも、 この場で春貴を落ち着かせるためだったんだ。

いや……。

案外、私が言ったことは、『でまかせ』じゃないのかもしれない。

 

春貴:「本当に助かるのか?  俺たち……」

しおり:「うん」

春貴:「じゃあ、助かる方法って?」

しおり:「それは……」

私は少し考えた。

 

しおり:「今だと……、 うまく説明できないかな…」

春貴:「なんだよ……」

しおり:「…………。  ともかく」

しおり:「私たちが助かるためにも、 まずはお母さんを連れてこなきゃいけない。

 でしょ?」

春貴:「…………」

 

しおり:「……だから。

 そこまでは、二人でなんとか乗り切ろうよ」

 

しおり:「大丈夫。 私を信じて」

 

私はここまで春貴に対し、

とっさに考え付いた突拍子もないことを言った自分に、本当は自分でも驚いている。

これで春貴は、納得してくれるかはわからないけど、

私は自分がとっさに言った『でまかせ』に、少しは勇気をもらった。

自分で言ったことに、自分が励まされるなんて。

『言葉』って凄いと感じた。

 

春貴:「はは…」

しおり:「?」

さっきまで落ち込んでいた春貴に、反応があった。

 

春貴:「はぁ~……。 

 まったく…、 バカ姉ぇ」

春貴:「こんなことになった原因……。

 さっき話してたことが本当なら、 責任取ってもらわなきゃじゃん。

 はは…」

春貴に苦いながらも笑顔が出た。

どうやら私の話で、少しは緊張がほぐれたみたいだ。

 

しおり:「春貴。 私の言ったこと…、 信じてくれる?」

春貴:「……まあ、 ね。

 でも…」

春貴:「この家の『霊』。  アイツ…。

 なんで出たり消えたりするワケ?

 それに、この先出てくるとすれば、 なにが『きっかけ』なんだ?」

 

問題のアイツ。

アイツのことは、正直謎だらけだ。

でも…、 

私が知っているわずかな情報を、頼りにすることにした。

 

しおり:「心の乱れ…」

春貴:「…?」

しおり:「…きっと、 私たちが弱ってるところに、

そこに付け入るように、アイツは現れるんじゃないかなぁ?」

春貴:「…………。

 そう、 なのか……?」

春貴は不信ながらも、今までのことを思い出す。

 

私が自分の部屋にいた時は、今までにない悪寒に襲われた。

その時の私は、恐怖と絶望でいっぱいになってたんだ。

もう、あんなの経験したくない。

 

しおり:「よくあるじゃん」

春貴:「?」

しおり:「悪魔とか。

 漫画とかの設定で、『心の弱みにつけこむ』ってヤツ」

春貴:「…………」

しおり:「アイツが出てこないことを……、 

 私たちが助かることを、強く願えばいいと思うの」

しおり:「…そうすれば、アイツが出てくる隙なんてないんじゃない?」

春貴が黙って聞いている。

 

しおり:「ふん…。 リアル(現実)でこんなこと言うなんて、ちょっとくさいけどさぁ…。

 なんの考えも無いよりはいいでしょう?」

春貴:「…………。

 そう、だな…」

春貴:「…うん、 その方がいい」

 

 「そういうことにしておこう」

 

これで、春貴も納得してくれたと思う。

私の無理な説明に、半ば「呆れ」があったかもしれない。

それでも、私たちは少し落ち着くことができた。

 

春貴:「さっきは、ごめん…。

 早く、お母さんを助けに行こうか」

しおり:「うん」

私たちは気を取り直す。

母がいると予想した「寝室」に向かう。

 

正直、

私が春貴を落ち着かせるために、熱心に話をしていた自分が、少し恥ずかしくなった。

 

 「私を信じて」って。

 

その恥ずかしさを紛らわすために、気持ちが高ぶり、そそくさと早足に母の寝室に向かうことにした。

半ば、やけを起こしてる。

むしろ、さっきまでのように、ずっと恐怖を抱えながら歩くよりも都合がいい。

このまま母の寝室まで行く。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

【寝室】

 

あれから、そんなに時間は経っていない。

私たちは、母の寝室部屋のドアの前まで来た。

しおり:「…………」

 

母の寝室部屋は、リビングの近く。

玄関から歩いて左側の壁になる。

通常なら、リビングの近くに寝室があることになるけど、今は寝室部屋からリビングまで距離があるはずだ。

 

しおり:「…じゃあ、  入るよ」

春貴が頷く。

春貴は自分の部屋から持ってきていた、バットを構えた。

万が一のためだ。

 

ここに母がいればいいが……。

今からそれを確かめることになる。

ここまで、気持ち的に長い道のりだった。

 

私は一息入れた後、ドアノブに手をかけ、ゆっくりとドアを開き始めた。

顔が入るほどに開けた後、中を覗いてみる。

 

しおり:「…………」

部屋の中に、あの『黒い人型』がいる感じではなかった。

アイツがいないことを確認した後、ドアをもう少し開けて中に入る。

しおり:「……お母さん?」

一応、声をかけてみた。

なにも反応がない。

 

この時点で母の状況は、二つに分かれることになる。

一つは、母が寝室部屋の中にいるが、意識がなく倒れていている状態。

もう一つは、この部屋の中にはいない。

この二つのどちらか。

 

しおり:「(お母さん。 ……この部屋にはいないの?)」

部屋の辺りを見渡す。

私はベッドの近くに行き、春貴は別の場所を探る。

部屋の中は当然暗いから、慎重に確認をする必要がある。

 

しおり:「(やっぱり、いないかも…)」

春貴の確認もとってみたが、母の姿はなかった。

 

母が寝室部屋にいることは、見当はずれだったようだ。

やっぱり、一番可能性を感じていた「リビング」にいるかもしれない。

私はそう感じ始めていた。

 

が、気づいてしまった。

母はベッドの布団の中にいるかもしれないと。

 

しおり:「(ベッドに膨らみが…!)」

暗くてわかりづらいが、よく見てみると、ベッドの上が少し盛り上がっている。

そうか! 母は布団の中に入っている状態で、気を失っているかもしれない!

 

私はすぐに布団を掴もうとした。

ここにお母さんがいるかも!

 

が、 私は手を伸ばしたけど、躊躇った。

なぜだろう? 

心臓の鼓動が一気に激しくなった。

 

しおり:「なんで!? お母さんがいるか確認するだけなのに…!」

ただ布団をめくるだけの動作なのに、すごく緊張している。

なんでこんなにドキドキしているのかは、自分でもわからない…。

 

私は恐る恐る布団を掴んで、めくろうとした。

心臓の鼓動が早い。息が荒くなっている。

しおり:「……。  …くっ!」

ようやく布団をめくった。

しおり:「…………」

 

いない。

ベッドの上には、母の姿はなかった。

しおり:「(そんな……)」

 

春貴が近づいてきた。

春貴:「お母さん…。 いなかったか…?」

しおり:「……。 うん」

やっぱり寝室部屋にはいなかった。

 

私は今、ショックを受けているのだろう。

ここで母がいてくれたら、少しは安心できたのに……。

期待しておいて、結局この結果。

 

できることなら、 リビングへは行かずに済みたかった……。

寝室にいないのなら、母がいる可能性がある部屋は「リビング」。

 

しおり:「…………」

 

「リビング」は、 今日の夜7時半頃―――、

私と母が喧嘩してしまった場。

 

それからおかしくなったんだ。

私たちがこんな目に遭っているのも、

あの『黒い人型』が現れたのも……。

 

私の隣で春貴がそわそわしている。

春貴:「なぁ…。 そろそろ別のところ探しに行こう。

 あんまその場で、じっとしていたくないからさぁ…」

しおり:「あ……。  うん……」

 

正直、リビングへは行きたくない。

母と喧嘩してから、そのままの状態。 

ギスギスしたままの現状から、あの場で母と会うのは、

私としては好ましくない。

なんだかあの場は、不吉な予感がする。

まさに、「アイツ」が出てくるような―――。

…………

 

でも…。  それでも。

このままなんて嫌。 絶対に。

 

母ときっちり仲直りをして、 この絶望から、

「アイツ」から  早く逃れたい!!

 

しおり:「(お母さん…!)」

私は祈るシスターのように手を握り、ぐっと力を込めながら、

母のことを強く想った。

「必ずお母さんを助けに行かないと!」

 

 

その時だった。

 

ギシギシッと、音が聞こえた。

それは部屋の壁が軋む音。

 

それと同時に、地震みたいな揺れが起こり、それは少しづつ大きくなっていた。

いや、自分の感覚がおかしくなっているのかもしれない。軽いめまいがする。

部屋の中の空気も震えていた。 

あきらかに異様だった。

 

しおり:「えっ……」

 

 

【誤った選択】

 

私はもう、わかってしまった。

この現象が起こって、すぐにあることに気づいた。

強い悪寒を感じている。

 

「出た」

アイツが。

 

……………………

 

私は後ずさりながら、顔をあげた。

私の目の前に、『黒い人型』がいたんだ。

 

しおり:「…………っ!!」

 

私は驚きのあまり数秒間、声を出すことも、身動きをとることもできなくなっていた。

 

『黒い人型』

そいつは一度見た時よりも、今度は鮮明に見える。

体格は異様だが、シルエットが女の体のようだ。

 

私は恐怖で、なにもできなかった。

だが、そいつは手をあげて、その手を私の方に向けてきた。

なにする気かはわからなくとも、命の危険を感じた。

その手が私に触れる前に、自分の危機に反応して、声を出せるようになった。

 

しおり:「春貴っ!!」

とっさに春貴の名前を呼んだ。

春貴にも、今度こそあの『黒い人型』の姿が見えたはずだろう。

 

春貴:「…くっ!!」

春貴は手に持っていたバットを両手で強く握りしめ、バットを頭上に上げ、

アイツにめがけて思い切り振り下ろした。

バットは床に強く当たった衝撃があった。

問題の『黒い人型』に当たったかはわからない。

必死だったから、アイツに当たったかの確認なんてする余裕もなかった。

 

私たちは、とにかく逃げたかったんだ。

春貴:「逃げよう!!」

幸いにも、アイツはドアの前で現れなかったから、ドアからすぐに逃げ出せた。

 

私たちは廊下を走った。もときた廊下を走る。

目指すは玄関の方向。

このままいけば、玄関のドアから外に出られる。

 

けど、 

私は母を連れて、三人でこの家を脱出するつもりでいた。

このまま二人で家から出て、母を助けにやり直すことができるか―――?

 

きっと、再び家の中に入って、母の捜索に行くのは得策じゃない。

だったら、他のところに逃げ込んで、やり過ごした方がいいかもしれない!

 

私は走りながら迷っていた。

このまま玄関のドアから出る方がいいのか、一旦2階に駆け上がるか、それとも別の部屋に入ってやり過ごすか!?

私はどうするべきか迷っていた。

 

が、春貴の方は違った。

春貴は迷わず玄関まで走り込み、玄関のドアノブを回し始めた。

相当焦っている様子だった。

 

ドアノブをガチャガチャ回す。

春貴:「…!」

だが、ドアノブを回せても、肝心のドアが動かない。

「そうだ、カギがかかっているかも!」

鍵を回して、再びドアノブを回す。

それでも、ドアは開かなかった。

 

春貴:「クソッ!!」

春貴はドアに数回体当たりをしたけど、ドアはビクともしなかった。

春貴:「なんでなんだよっ!」

ドンッ とドアを叩いて寄りかかり、そのままズルズルとしゃがみ込んでしまう春貴。

 

これでわかった。

私たちは、『この家から出ることはできない』ってことが。

唯一の逃げ道は塞がれている。

脱出は不可能。

 

春貴はまだ、玄関のドアに執着している様子だった。

しおり:「春貴……」

私は春貴を抑えようとする。

 

このまま、玄関に立ち止まってたら危ない。

アイツがこっちに来ているかもしれないから―――。

 

そう思った矢先に……、

アイツ。

あの『黒い人型』が後ろから迫ってきてるのが、ひしひしと伝わってくる。

身体が身震いした。

しおり:「(…ヤバイ!)」

 

 どうしよう、 どうしよう、 どうしよう、 どうしよう!

 

どこへ行けばいいのか?

どこへ行くことが一番、私たちの身のためになるのか?

 

私は焦る気持ちでいっぱいになってきた。

私があたふたしている間にも、アイツは確実に近づいている。

 

ふと、春貴から声が聞こえた。

春貴:「姉ちゃん……。 俺たち…、

 どうすればいいかなぁ……?」

しおり:「…………」

 

もう、迷ってる暇はなかった。

アイツがすぐ近くに来ている感じがしたから。

 

しおり:「……っ!」

私はなにも言わずに、春貴の腕を掴んで立たせ、

玄関の近くにある、左側の壁にある洗面所のドアへ向かった。

しおり:「(もう、あそこへ逃げよう!)」

 

2階へ逃げ込む選択もあったが、私は部屋に逃げ込む選択を選んだ。

洗面所のドアを急いで開け、春貴と一緒に部屋に入り、鍵を掛ける。

まだ駄目だ!

そのまま洗面所に隣接している「お風呂場」へ駆け込み、鍵を掛けようとした。

 

その時アイツは、私たちのすぐそばまで迫っていた。

私はお風呂場で、やり過ごすつもりでいたんだ。

―――――――

 

今思えば、 それは浅はかだった。

―――――――――――

 

 

やってしまった……。

 

私は、選択を誤ったんだ。

 

そう言うのも―――、

あの『黒い人型』が、私が洗面所のドアを閉めて鍵も掛けたのに、

それを通り抜けたように、追って迫ってきていたからだ。

後ろから、アイツがすぐ近くにいたのを感じてた。

 

当然か……。

あの『黒い人型』は、その場に突然現れるんだ。 

ドアも壁も関係ないよ。

だから、お風呂場のドアを閉めて鍵を掛けたとしても無意味。

 

もう、逃げ場はない。

 

お風呂場のドアがガタガタ音を立て、壁もギシギシときしむ音が鳴った。

「来る!!」

アイツはすぐそこに迫っている。

 

お風呂場の空気感がおかしくなり、震え、アイツの存在感をはっきりと私たちに伝えていた。

 

私たち二人は、「絶望」でいっぱいになった。

 

終わりだ。

 

 春貴に、 「自分を信じて」って言ったのになぁ……。

 

 ごめん…  ね

 …………

 

 

その時、私は『死』を覚悟していた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

数秒後―――。

 

あの『黒い人型』はいなくなっていた。

 

しおり:「…………」

春貴:「…………」

 

 え……

 なんで……

 

私たちは放心状態でいた。

なにが起こったのかわからない。

ただ、今言えることは、

襲ってきていた『黒い人型』は、もうこの場にはいない。

…………

 

一体、どういうことなんだ!?

 

アイツは間違いなく、私たちを襲う気で追ってきたはず。

なのに、春貴の部屋にいた時と同じ、

アイツは出てきておいて、また急にいなくなった。

 

私たちを襲えるチャンスを、自ら放棄したんだ。

…………

意味がわからない……。

 

私たち二人は、お風呂場の中、 放心状態が続いた。

考えることができずにいた。

 

しばらくして、私はハッとする。

緊迫、恐怖、絶望。

アイツが襲ってきた時のいろんな負の感情が、その瞬間に一気に感じていたから、今体調がすごく悪い。

 

それに、この理解不能な状況に、ただ黙っていつづけていたら、 頭がおかしくなりそうだった。

 

私はたまらず、 春貴の無事を確認することなく腕を引っ張って、お風呂場から無理やり出ようとした。

体は動ける。

でも、 手と足が震えてて動きにくかった。

 

お風呂場のドアから洗面所のドアと、鍵を外して廊下に出る。

私と春貴は廊下に出て、辺りを見渡す。

「…………」

 

一先ず、あの『黒い人型』はいないようだった。

 

だが……、 アイツがいないのよかったけど、

私たちの前に、 また別の問題は起きた。

 

しおり:「…!」

私はその光景を見て、鳥肌が立った。

しおり:「ウソ、 でしょ……」

 

私が見たのは、『明かり』だった。

「リビング」へのドアから、明かりがもれていたんだ。

 

 

【リビング】

 

……………………

 

私たちは、会ってしまったんだ。

あの『黒い人型』に。

 

私と春貴は、母を助けに一度、「母の寝室」に入った。

そこで、母がこの部屋にはいないことがわかって、私は次に、

母がいるであろう「リビング」へ行くことを躊躇っていた。

が、このままで終わるのは嫌だと思って、リビングへ行くことを決めたんだ。

どうしても母に会って、仲直りをしたかった!

 

私が母のことを強く想った時だった。

『黒い人型』が現れたんだ。

 

私と春貴はそいつから逃げた。

でも、アイツから逃げ切ることに失敗して、 一度はあきらめた。

…………

 

その時、状況が一転したんだ。

アイツはいつの間にかいなくなっていた。

 

私と春貴は、再び廊下に出た。

アイツがいないことを確認したが、そこで待ち受けていた新たな問題。

 

しおり:「…!」

私はその光景を見て、鳥肌が立った。

しおり:「ウソ、 でしょ……」

 

私が見たのは、『明かり』だった。

「リビング」へのドアから、明かりがもれていたんだ。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

しおり:「…………」

「リビング」のドアから、明かりがもれている。

 

私たちは、あの長かった廊下を走ってきて、今玄関の近くにいる。

なのに、リビングへのドアが近くにあるように見える。

 

そもそもなぜ、リビングから明かりが―――?

あれは、電気がつけられているのか? 

それとも、あの部屋が光に満ちているのか?

ただの幻覚とも考えられる。

 

なんにせよ、この状況はおかしすぎる。

アイツ。 あの『黒い人型』の罠?

私たちは、いざなわれているってことか?

 

私は一先ず春貴を見た。

しおり:「春貴……。  大丈夫…?」

私は弱弱しい声で言った。

 

春貴:「…………。  

 まぁ…、 なんつうか…」

春貴も弱弱しい声で答える。

 

春貴:「……あそこで、 一回死んだようなもんだしなぁ……」

しおり:「…………」

かなり参っている様子の春貴。

私はこれ以上、春貴の様子を追究するのはやめた。

 

春貴:「……。

 こんなもの…。 もういいよ…」

春貴は手に握っていたバットを手放そうとした。

しおり:「待って」

私は引き留めた。 一応持っておくように春貴に言っておいた。

 

…………

さて、 

ここからどうするか。

あのドア……。  リビングへ行くべきなのか?

 

ともかく、 

あそこはもう、今までよりも普通じゃない。

アイツの『罠』と考えていい。

 

…………

でも、 あのドアへ。  

リビングに行かざるを得ないと思った。

確かめる必要があるんだ!

 

私たちが今、こんな目に遭っていること。

母は今、どうなっているのか。

そして、あの『黒い人型』はなんなのか。

 

その真相があの部屋に、 きっとあるんだ!

 

私はもう一度、春貴の方を見た。

しおり:「春貴。 ……無理だったら、ここで待ってていいよ。

 あそこへは、 私一人ででも行くから…」

春貴:「…………」

春貴は少し黙った後、

 

春貴:「……いや。  俺も、 いくよ…」

春貴:「もしものことがあるのなら…、 

 『二人で』 の方がいいから……」

半分、「あきらめ」が入った返答。

 

しおり:「……。

 もう、 不吉だなぁ…」

しおり:「うん。  わかった…」

これで決めた。

私と春貴は、リビングのドアへ向かった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

【記憶】

 

少し歩いてドアについた。

やっぱり、リビングの部屋への距離が短かった。

アイツが誘ってるんだ。

 

しおり:「…………」

私はドアノブに手を置いて、ゆっくり回した。

ドアを開ける。

開けたドアの隙間から、明かりがより一層もれる。

暗闇を照らすかのように。

 

ドアを開けて、中の様子を見た。

リビング。

 

中を見たところ、この明かりは……。

電気がつけられている感じではなかった。

朝…。

そう。  朝方のような明るさが、リビングに広がっていた。

 

「…………」

今は夜なのに、この明るさは不自然すぎる。

どういうことなんだ…?

 

リビングの部屋は、至っていつも通り。

この家の「リビング」の在り様、そのままだ。

私たちは警戒しながらも、部屋の中に入って辺りを見渡す。

 

リビングに入って、少し経ったその時だ―――。

 

 「ふ~ん。  ここって、こんなこともするのね」

 

しおり:「えっ…」

母の声が聞こえた。

私たちは声が聞こえた方を向いた。

 

見ると、 母が椅子に座っていたんだ。

 

しおり:「…っ!?」

私と春貴は驚いた。

探してた母に、やっと会えたことではなく、

さっきまでリビングに人の姿はなかったのに、母が突然現れたんだ。

 

母はなにやら、テーブルに置いてある書類を見ていた。

あの紙は、きっと「学校のたより」だ。

 

しおり:「…………。  お母さん…?」

母を求めて、 やっとその姿を見ることができた。

だが、私と春貴は疑っていた。

ここにいるのは本当に母なのかを。

…………

 

違う…。  あからさまにおかしい。

今まで母を助けにここまで来て、やっと会えば母のこの様子。

これは絶対、「幻覚」だ。

私たちは、母の幻覚を見せられてる。

 

ゆかり:「しおり」

名前を呼ばれた。

しおり:「……」

私はその場でじっとしておく。 惑わされたらダメだ。

少しの沈黙。

 

すると、母は消えた。

しおり:「!?」

さっきまで椅子に座っていた母は突然消え、

一拍置いた後、 また母が現れた。

今度はキッチンの方。

 

ゆかり:「待ってて~。 もうすぐできるから」

母は弁当を作っていた。

しおり:「(あれは私の…)」

 

私と春貴はわけがわからずにいた。

少ししたら、キッチンにいた母はまた消え、

今度は床の掃除をしている母が出てきた。

 

私はこの母の幻覚を見て思った。

「なんかこの光景…、つい前にも見た気がする」

いや。  この光景は何度も見てきた。

 

「私たちが学校へ行く前などの、母の姿―――」

 

だとすると、 これは『記憶』?

このリビングの間で、

過去に母のとった行動が、一部分だけ再生されている。

私たちは今、自分たちが見てきた母の記憶を見させられているのか? 

それとも、母の記憶の中を見させられているのか?

 

どっちにしろ、 なぜこんなことになっているのか、わからない。

一体、なんのために―――。

 

何度か母の行動の一部分を見させられた後、

母は現れなくなった。

次第に辺りは暗くなっていく。

 

幻覚が終わったんだ。

 

リビングに明るさはなくなり、夜の暗い状態に戻った。

しおり:「…………。

 なんなの……?」

私と春貴は困惑していた。

 

母の幻覚を見せられたのなら、本物の母は今どこに?

しおり:「……お母さんは?

 お母さんは、どこにいるの?」

私と春貴はこのリビングで、母がいるか探そうとした。

 

しかし、 

それは中断させられることになったんだ。

 

 

【黒い人型】

 

家の中で、地震が起こった。

しおり:「な、なに!?」

 

いや、正確には地震に近い感覚。 部屋の空気が震えている。

自分の感覚がおかしくなったようで、すごく嫌な気分になる。

軽いめまいがしてきた。

春貴:「…これって!?   そうだ!!」

 

春貴に心当たりがあるようだ。

そう。 春貴は自分の部屋にいた時に、

「変な感覚に襲われて、めまいがしながらも椅子から立ったとき、意識が飛んで倒れた」。

その間に、地震が起こったような感覚を覚えたと、春貴は言っていた。

 

この地震のようなものは、今まさにそれなんだ。

こんなことを起こせるのは、この家でアイツしかいない!

あの『黒い人型』が現れる前触れなんだ!!

 

 

案の定、 『黒い人型』が出てきた。 

私たちの前に。

 

私たちは、今までよりも強い悪寒を感じている。

身体が勝手に震える。

しおり:「……っ!」

春貴:「…また…、  なのかよ……」

春貴は恐怖で身動きがとれなくなった。

私も恐怖でいっぱいだった。

 

でも、 

私の中には、「怒り」も出てきたんだ。

しおり:「…お、 まえ……」

私はあの『黒い人型』に向かって、初めて口を聞いた。

 

しおり:「…お前は!  一体なんなんだっ!

 一体、私たちをどうしたいんだ!!」

『黒い人型』は、無言で近づいてくる。

私は続けて叫んだ。

しおり:「お母さんは! 

 お母さんは、どこへやったんだっ!!」

 

今この時点で、

この『黒い人型』について、謎が一つ解けたと思う。

 

コイツが現れる条件―――。

それは、「母」だ。

母のことを強く想った時、それに反応してコイツは現れるんだ。

 

そうだ!

思えば、 この『黒い人型』が現れた時は、私は母のことを強く想っていた。

廊下を歩いてた時でも、母のことを考えて自分を保とうとしていた。その時でも、『黒い人型』の存在を感じていた。

 

だから、コイツと「母」は関係している。

「コイツは、私たちにお母さんを会わせないつもりなんだ!!」

 

でも、 そうなると肝心の母は、今どこにいる?

無事でいるのかわからない……。

 

それに、 コイツが私たちを襲ってきておいて、その後突然消えた理由も謎のままだ。

今も襲われそうな状況だが、また消えたりするのか―――?

 

 

 「お母さんはどこ……」

 

依然、『黒い人型』は黙って近づてくる。

しおり:「答えろ!!」

 

その時『黒い人型』は、私の声に答えるように、

なにかを発し始めた。

 

その『なにか』とは、

例えるなら『霊圧』?

そんなようなものを私たちに向かって発し、私と春貴は意識が飛びそうになった。

 

今まで私が、コイツに対して感じていた「悪寒」とは別物。

もはや、「攻撃してきた」と言ってもいい。

このままだとやられるのは、目に見えていた。

 

しおり:「…くっ!」

だが、私も黙っていなかった。

とっさに春貴の持っていたバットをつかみ取り、アイツにめがけてバットを振った。

 

が、 当たりはしなかった。

おそらく、アイツの体を透き通ったのだろう。

しおり:「…………っ」

「ダメだ…」

 

私はまだ一回しかバットを振らなかったのに、もうあきらめの気持ちが出た。

そう思ったのも、この場で、

アイツが発する『霊圧』にやられて、気を失いそうだったから。

アイツに近づくのは危険だとわかった。

 

「やっぱり、逃げるしかないんだ…」

 

私は春貴を連れて、リビングから逃げることにした。

しおり:「春貴!」

身体が固まって動けずにいた春貴をなんとか呼んで、一緒に逃げるように勧めた。

 

私たちは、リビングの部屋から出る。

しかし、そうはさせまいと後ろからアイツがすぐ近くまで来る。

私はとっさに、手に持っていたバットを投げつけた。

これで、唯一の武器であるモノを手放してしまった。

 

春貴:「……くっ」

春貴はようやく、身体が自由に動けるようになった。

私たちは急いで、アイツから離れるように逃げた。

長い廊下を走る。

 

走った先で、玄関が見えてきた。

ここから逃げる先は、 もう「2階」しかない!

玄関のドアから外へ出ることもできないし、部屋の中に逃げ込んでも無駄。

 

選択肢は、「2階」に行くしかないんだ。

 

私たちは階段を駆け上る。

暗い中だから、手を使いながら2階を目指した。

 

…………

で、

2階に着いて、 それでどうする―――?

 

2階に行ったところで、どのみち逃げ場はない。

私たちが助かるためには、

こんなことになった元凶、「あの『黒い人型』を倒す」という、大それた術しかないじゃないか!

「そんなことできるわけない!」

 

でも……。 

そうだとしても、 

今は2階を目指して、階段を駆けるしかなかった。

 

息が上がっている。

そんな中、 とうとう2階に着いてしまった。

 

 

【闇の中へ】

 

これで、逃げ場はなくなった。 引き返すこともできない。

じゃあ、どうする―――!?

という状況に、

なるはずだったんだ。  本来なら。

 

しおり:「……はあ、はあ、  …………」

私は息を切らしながらも、ある一点を見つめていた。

それはドア。

しおり:「…………」

 

ここで本当なら―――、

逃げ場がなくなり、この絶望的な状況に私と春貴は、とっくに慌てふためいたところだ。

でも、 そうならなかった。

 

そうならなかったのも、

あるドアが、 私と春貴の意識を誘ったんだ。

しおり:「…………」

春貴:「…………」

しおり:「あの部屋は……」

 

そう、 「物置部屋」。

その部屋は、この家の2階の廊下の奥にある。

そこは本来、「物置部屋」のはずなのに、 

明らかに異様だったんだ。

ドアから、感じが悪い雰囲気が漂っていた。

 

私たちはそのドアに近づいた。

近づいたらドアから感じる。

この暗闇に、 さらに深い闇に繋がっているような……。

そんな感じがした。

 

私は少し躊躇った後、ドアノブに手を置いてゆっくり回した。

ドアを開ける。

 

その部屋は、 まさに闇が広がっていたんだ。

真っ暗でなにも見えない。

だが、 この闇に先があり、

どこかに繋がっているような気がした。

 

この闇の中を歩いていけるかもしれない。

いや、 「ここを進んでいけ」と誘われているのかも…。

そうすれば―――。

 

私は決めた。

 

しおり:「もう…。  ここに行くしかない……」

私はつぶやいた。

春貴:「…えっ」

 

しおり:「私たちはこの家に閉じ込められてて、 家の中には、

 お母さんは……   たぶん、いない……」

春貴:「…………」

しおり:「だったら……、 私たちはこの先に行くしかない!

 私たちが助かる方法も、 きっとこの先だ…」

 

春貴:「…………」

無言で首を振る春貴。

春貴:「……もう、たくさんだよ…」

しおり:「春貴…」

 

春貴が力なく言った。

春貴:「俺たちは、 ここで終わりなんだ……。

 いくら逃げたって無駄なんだよ……」

春貴:「この先に行ったって…、  助かるわけないんだ……」

 

春貴はもう、あきらめているようだ。

しおり:「…………」

私は返す言葉がない。

 

ここに来るまで、 それこそ『絶望』しかなかった。

私は春貴に「自分を信じて」って言って、結局このありさま。

それに、母とも会えてすらいない。

 

この闇の先に行くことが、『正しい』なんて保証はないし、

正直自身もない。

 

それでも、 

ここで留まっていることも、もう引き返すこともできない。

この家の中でモタモタしてたら、アイツに襲われるだけだから。

…………

だから―――、

 

しおり:「私は、せめて……」

しおり:「お母さんにだけでも、 会いたい…」

春貴「…………」

しおり:「春貴は言ったよね…。

 もしものことがあるのなら、『二人で』の方がいいって」

春貴「…………」

 

しおり:「私は『二人で』じゃなくて……。

 私と春貴とお母さん。 『三人で』 がいいな」

 

春貴:「…………そっか」

春貴:「……それの方が、 ずっといいな…」

しおり:「うん…」

 

私たちは最後に、 母に会うことを決めた。

せめて、 母にだけでも 

会いたい……。

 

春貴:「じゃあ、 行くんなら。

 ……もう一回、 言ってほしいなあ」

しおり:「?」

春貴から注文が出た。

春貴:「俺が玄関のところでダメになりそうだった時…。

 そう。 姉ちゃんが家がこんなことになったのは、自分のせいなんだって言ったこととか、俺の励ましとか…」

しおり:「ええ~……」

 「(今それ、言うかぁ…)」

 

春貴:「そんなような、力がこもった言葉が…」

しおり:「…………」

 

春貴:「……本当に、 この先に行って……。

 お母さんに会えるの?」

しおり:「……ふ」

私は思わず笑みが出た。

 

しおり:「もちろん。 そうだよ」

しおり:「お母さんに会えるよう、 なんとかするよ、私が。

 ……だから」

 

しおり:「私を信じて」

 

春貴:「………うん、  わかった。

 姉ちゃんに任せるよ」

春貴にも笑みが出た。

 

しおり:「じゃあ。  行こう」

春貴:「うん」

 

私たちは、扉の先。

闇の中を歩きだしたんだ。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

【闇の先に―――】

 

もう―――、

どれくらい歩いたか?

時間の経過がわからない。

 

私たちはただ、闇の中を歩き続けていた。

 

あの家にいてからずっと、怖い思いや緊迫した状態から、歩いたり走ったりしてきたから、疲れが出てきた。

でも、 まだ少しの安心も許さない。

 

この闇の先に行くことが正しかったのか?

その答えすらわからない状態なんだから……。

 

春貴:「…………」

春貴は私の後ろで、黙ってついてきてくれる。

それに用心のため、私は春貴の手を繋ぎながら歩いていた。

春貴の今の体調はわからない。

 

今のところは、二人で無事。

「これで母も見つけて、三人そろえばいいけど……」

 

なにもない空間にいると、一人で勝手に考え込んでしまう。

いい加減、どこかにたどり着きたい―――!

 

そう思っていたところ、

なにか冷たい冷気を感じ始めた。

…………

 

気のせいか、 霧が出てきたように見える。

しおり:「え……」

いや、 気のせいじゃない。

歩くたびに、霧がどんどん出てきた。

 

それに加え、少しだけ明るいところに出れたように思う。

暗いことには変わらないけど、 なんだろう……、

『外』に出たような感覚。

 

しおり:「痛っ…!」

足に唐突に痛みが走った。

 

足元を見ると、石があった。

石だけでなく、草や葉、木の枝がある。

それを見て、私は気づいた。

私たちは今、「地面の上」にいる。

 

しおり:「春貴!  私たち、外に出れたよ!」

春貴の方を見たら、春貴がげんなりした様子だった。

春貴:「あ……、 ほんとだ。

 …寒い……」

 

春貴の言った通り、肌寒い。

けど、地面があるならここは―――?

 

さらに歩いて行って、 どこなのかわかった。

ここは「森」だ。

「夜の森」。 薄気味悪い…。

 

春貴:「…なんで森に……?」

しおり:「わかんないけど…、 とりあえず……、

 進展はあったわ」

私は安心したかは、わからない。

でも、家の中にいたときの『絶望』よりも、何倍もいい。

 

私たちは森の中を、さらに先に進んだ。

そして、見つけてしまった。

しおり:「…あれは!」

 

―――「家」だ。

 

 

私たちは自分たちの家から、この闇の空間を歩いていた。

そして、行きついた場所は「森」だった。

…………

 

ここがなにを意味しているのかは、まだわからない。

私たちは、おそらくここにいざなわれた。

だから来たんだ。

 

きっとこの場所で、全てがわかる―――。

 

私たちがこんな目に遭っていることも。

あの『黒い人型』の正体も。

母の行方も。

 

こうして、私たちは森の中を歩いていた。

そして見つけた。

しおり:「…あれは!」

 

―――「家」だ。

 


――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

【黒い家】

 

しおり:「…………」

この森を歩いてきた先で、『家』を見つけた。

 

しおり:「……あれって。  家、だよね……」

その見つけた「家」は、

外装は全体的に黒く、だれも住んでいない、廃れた家の雰囲気だった。

 

森の中にあるのなら、「小屋」だったり「別荘」とか、普通はそんな建物になるはずなんだが、

この建物はちゃんと、「家」だったんだ。

 

だから、違和感がある。

この森の中に、かつて人が住んでいたような「家」があることは、

どう考えても怪しい。

 

まあ。

私たちは今、普通じゃない状況にいるのだから、なにがあってもおかしくないんだ……。

私たちは今も『悪夢』の中を、彷徨い続けている。

 

しおり:「…………」

春貴:「……あれに、 入るのか?」

春貴が不安ながらも、たずねてきた。

 

しおり:「…………。 そうだね。

 あの中に行けば、 きっとわかるよ」

しおり:「こんなことになった、全てのことが……」

春貴:「…………」

しおり:「それに…、 お母さんもいるかもしれない」

春貴:「…………。  

わかった…。  行ってみよう」

私たちは、あの黒い家に向かった。

 

 

近づいてみると、それなりに大きい。

すぐに、中に入るためのドアを見つけた。

私たちは警戒しながらもドアに近づき、ドアを開けた。

 

しおり:「…………」

中は当然暗い。

玄関から廊下が続いていて、奥に部屋へ通じるドアが一つだけある。

まさに、「あそこに行け」と言われているような内装だ。

 

私たちは玄関のところで、なにか罠がないか辺りを見渡した後、注意を払いながら長い廊下を歩いた。

部屋へのドアに近づくほどに、心臓の鼓動が激しくなる。

 

「このドアを開けたら、 きっと―――」

なにが待ち受けているのか?

もしかしたら、母の姿があるかもしれない……。

 

しおり:「…………」

いくつかの思惑がありながら、私はドアを開けた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

部屋の中を見ると、 物がたくさんあったんだ。

 

その「物」とは―――、

『子供用のおもちゃ』だった。

 

しおり:「え……」

私たちはドアの近くで、部屋の辺りを見渡す。

見たところ、部屋いっぱいにおもちゃが散らばっていたんだ。

おもちゃ以外にも、写真立てや大きな鏡などがある。

 

しおり:「…………」

私たちは一通り、部屋の中を見渡した。

やっぱり、母の姿はなかった。

 

 それよりも、この散らばっているおもちゃたちはなんなんだ?  

 なにか意味があるのか?

 それとも、 私たちになにかを伝えたいのか?

…………

 

結局―――。

この黒い家の中に入っても、母はいなかったし、

真実どころか、謎が深まるばかりだった。

このおもちゃたちは、 一体……。

 

私は考えながら、部屋の中を歩く。

すると、 

テーブルの上に置かれている、一つの『黒い箱』に目が留まった。

その箱は、手のひらサイズの大きさ。

 

私はその箱を手に取った。

しおり:「…………」

「これは…」

なにか見覚えがある。

私はこの箱について、これがなんだったのかを思い出そうとしたけど、今はそんな暇じゃないから、思い出すことはやめた。

 

私はその箱をテーブルの上に戻さず、 なにを思ってか、

ポケットの中にしまっておいた。

 

私はこの『黒い箱』を見つけてから、他になにか気になるものはあるか、探してみた。

 

しおり:「(……写真立て)」

部屋の中には、いくつか写真立てがある。

それが気になった理由は、

写真立ての中に、なにも入れられていなかったからだ。

 

しおり:「(なんで、なにも入ってない写真立てだけが、ここに置かれているんだ…?)」

写真が入れられていない「写真立て」。

なにか意味があるのか―――?

…………

 

 

【知らない記憶の産物】

 

春貴:「なあ…」

春貴から声がかかった。

 

しおり:「なに…?」

春貴:「この部屋にあるモノ、いろいろ見てみて…、

 思ったんだけど……」

しおり:「?」

 

春貴:「ここにあるモノってさぁ…、

 俺たちが小さい頃に遊んだおもちゃに、似てないか?」

しおり:「……」

 

春貴に言われて、私はようやく気付いた。

春貴が言った通り、ここにある多くのおもちゃは、

きっと、私たちが『小さい頃に遊んだおもちゃ』だ。

ようやく思い出した。

 

でも、部屋の中にある多くのおもちゃの中でも、思い出せたおもちゃは少ない。 小さい頃の記憶は不確かだから。

むしろ、「こんなもの遊んだことあったかあ?」と思えるおもちゃもたくさんある。

 

しおり:「確かに、そうなんだけど……」

じゃあ、それがなんだ?

ここで自分たちが、『小さい頃に遊んだおもちゃ』があることに気づいただけ。

なにも謎は解けていない。

 

春貴:「はぁ~……。 どういうことなのか、さっぱりだ…。

 これで、小さい頃のことを思い出せって言ってるのかぁ……?」

頭を抱える春貴。

私もこの部屋については、意味がわからない。

 

私たちは、 この森も、この家も、

「いざなわれて」ここに来たことになるはずなんだ。

だから、これ自体にも意味があるはず。

なにか意図があるんだ。

…………

 

私はふと、 『いざなわれる』 

ということに関して、一つ思い出した。

それは、「リビング」でのことだ。

 

母の寝室に来た時は、あの『黒い人型』に襲われそうになって、私たちはお風呂場へ逃げた。

でも、アイツは消えて、私たちは廊下に戻った時に、リビングから明かりが出ていた。

 

それはまさに、

私たちをここに来るように、誘っているようなものだった。

実際、リビングに来たときは、

母の幻覚 『母の記憶』を見させられた。

 

『記憶』。

…………

しおり:「……っ!」

私は気づいた。

 

私たちがリビングに訪れ、母の幻覚 『母の記憶』を見させられたように、

この黒い家の中も、

『記憶』を見させられているということになるんだ!

 

……いや。  あの時とは違う。

 

この部屋には、

私と春貴、そして母の『記憶の中にあるモノ』が集められている。

このおもちゃたちがそうだ。

 

この部屋にある多くのおもちゃは、私たちが小さかった頃遊んだ『モノ』が集められている。

そう、 小さかった頃の……。

「思い出?」

 

そうだ……。

これらが『思い出のモノ』だとしたら、

もしかしたらこれは、

『母の記憶』の中に、私たちが入り込んでいるのかもしれない…!?

私たちの『思い出のモノ』。

 

私がさっき、ポケットの中に入れた『黒い箱』も、きっと思い出のモノだ。

でも、『黒い箱』に関しては、今は考えることが多くて思い出す余裕がない。

 

そして、このおもちゃたちに関して、鮮明に覚えているのは母の方。

だから私たちが、『母の記憶』の中に入り込んでいる可能性は、十分あるはずだ。

…………

 

でも、 そう考えると不可解なことがある。

 

母の記憶の中に入り込んでいるのなら、ここにあるモノ全てが、

『記憶の通りに存在するモノ』でなければならない。

なのに私には、

全く見覚えがないおもちゃがいくつもあった。

 

それらを何度か見返したけど、やっぱり見覚えがない。

そのおもちゃたちは、どうも古めかしいモノだった。

「(今のような、現代のおもちゃじゃない…?)」

 

なぜこれらが、この部屋に存在する?

 

もしかしたら、私たちが知らないだけで、母だけが知っているモノなのかもしれない。

それとも、ここは『母の記憶の中』という考えが間違っているのかも?

いや、それとも―――。

 

…………

まだ完全には、真実にたどり着けない。

 

 

この部屋にある、いくつかの「写真立て」だって謎なんだ。

母の記憶の中なら、このなにも入っていない「写真立て」は、一体なんなんだ…?

『思い出のモノ』なら、私たちの写真が入っていなければおかしい。

 

私は写真立てを一つ手に取って、じっと見た。

やっぱりなにも見えない。

…………

しおり:「……!」

いや、 違った。

 

 

【敵の正体に繋がるモノ】

 

しおり:「えっ」

写真立ての中を見ていたら、なにか見えたんじゃなく、 頭に中―――。

そう、 頭の中に知らない記憶が流れ込んできた。

 

それがどういう記憶なのか、 説明することができない。

はっきりとビジョンが映らないから…。

でもその真相は、写真立てが証明してくれた。

 

しおり:「……なに!?」

写真立ての中から、じわじわとなにかが映り込んできた。

頭の中に流れてきた記憶を映し出すかのように、写真立ての中に写り込んでいく。

 

「もう少しで、なにかが―――!  

 あと少しで、なにかがわかる気がする!?」

写真立ての中に写り込んだもの、 それは―――、

 

『家族』だった。

 

しおり:「……!?   だれ……?」

私には、知らない家族が写真立ての中から見えた。

しおり:「(これは、一体……)」

 

 

 「「見るな!!」」

 

しおり:「えっ!」

唐突に声が聞こえた。

 

誰かわからない、聞いたことのない声。

聞いただけでもその声の主は、「焦り」や「怒り」の感情に満ちているのがわかった。

 

私はハッとして顔をあげ、春貴の方を見た。

しおり:「春貴! 今…」

春貴:「うん。 俺にも聞こえた気がする…!」

春貴にも、あの『声』が聞こえたようだ。

しおり:「じゃあ、 あれは…!?」

 

私は急いで部屋の辺りを見た。

部屋の中では、特に変化がない。

ふと、 この部屋にある窓ガラスに目が行き、そこから外の様子を見た。

しおり:「…!!」

 

「いた!」

アイツが。 

あの『黒い人型』が、少し距離があるところから、こっちを見ていた。

しおり:「(ヤバイっ!!)」

アイツが来ている。

 

「ここにいたら、危ない!  また襲ってくる!」

 

そう思った時に、

部屋の中の空気が震え始める。

地震のようなものが起こり、家の中が軋みだした。

「またアイツは、霊圧なようなものを―――!?」

強い悪寒を感じ、めまいが起こる。

 

 「「許さない!!」」

 

また声が聞こえた。

その時、壁の方からガタガタッと大きな音が鳴り、私はその方を向いた。

見ると大きな鏡がある。

鏡には私の姿が映っていた。

 

私が動けば、その姿や行動を映すはずの鏡。

だが、 その鏡に映っている自分が、ひとりでに動き始めた。

しおり:「…!?」

 

鏡の中の自分は、鏡が置かれている場に近づき、怪しげにほほ笑む……。

 

そして、鏡に映る自分の顔が、

ゾンビ映画のように顔が裂けはじめ、

恐ろしい顔になった状態で、鏡から飛び出してきた。

しおり:「いやあああっ!!」

 

鏡から飛び出してきた自分のバケモノは、

私よりも鏡の近くにいた春貴に襲い掛かろうとした。

しおり:「春貴っ!!」

 

私は春貴の名を呼びながら、家の中にあるモノ、

できるだけ固いものをとっさにつかみ取り、

それを鏡に向かって、思い切り投げつけた。

必死だったから、自分がなにを投げたのかわからなかった。

 

バリーン!!

投げたものが激しく跳ね返りながら、ガラスの破片が飛ぶ。

うまく鏡を割ることができた。

鏡を割ったことによって、鏡から飛び出てきた、鏡の中の自分はいなくなっていた。

 

あれはおそらく、『幻覚』だったんだ……。

 

しおり:「はあ…、はあ…、はあ……」

心臓の鼓動が激しい。

私は震えながら、少し放心状態でいた。

春貴も床で、尻もちをついた状態でいた。

 

 

だが、 これで終わりなわけがない。

またなにか来るはず…!

 

その予想は的中した。

 

今度は家の外から、なにか大きなものが迫ってくる音がした。

しおり:「(今度はなに…!?)」

その大きなものは、もうこの家のすぐ近くにいるような感じだった。

「マズイ!! 逃げないと!」

私は春貴を連れて、この家から出ることに決めた。

 

もと来たこの家の玄関から出ようと考え、

部屋のドアに近づいた、その時だった。

 

ガシャーンッ!!

ものすごい音がして、家が大きく揺れた。

私たちは驚きのあまり、その場で固まる。

 

その後、 バキバキバキッ! と

この家が、嫌な音を発し始めた。

ものすごい音は一回きりではなく、続けて来ているようだ。

 

しおり:「(もしかして…、 この家が崩れるの!?)」

悪い予感がする。

 

私たちは、「玄関から出るんじゃ間に合わない」と感じ、

部屋の中にあった窓を見た。

春貴:「あそこから出よう!」

窓からは、あの『黒い人型』の姿を見たけれど、

今はそれどころじゃない!

 

私たちは窓に近づき、窓が開くか動かしてみる。

ガシャン!

「開いた!」

幸いにも窓は開いてくれて、

私たちは窓から脱出することができた。

その間にも依然、この家は大きな音を立てていた。

 

私たちは窓から出た後、急いでこの黒い家から離れた。

ある程度離れた後、後ろを振り返る。

その時、私たちが見た光景は―――。

…………

 

 

【おもちゃ】

 

『私たちが入った、この「黒い家」が崩れるかもしれない!!』

 

私たちはこの家が崩れる前に、窓から脱出した。

その間にも、この家が壊されているような大きな音が鳴り響いていた。

私たちは窓から脱出した後、急いで黒い家から離れ、

ある程度離れた後、後ろを振り返る。

…………

 

その時、私たちが見た光景は―――。

『巨大なショベルカーが、黒い家を壊していた』 というもの。

 

しおり:「…………っ!?」

私たちはわけがわからずにいた。

 

春貴:「…なんだよあれ……?

 なんで、あんなものが……!?」

この森の中に、唐突に出てきた巨大ショベルカー。

 

だが、 あれはショベルカー… なんだけども、

どうも安っぽい外見をしている。 

音も、エンジンで動いているような感じの音じゃない。

そう、 例えるなら『おもちゃのショベルカー』。

巨大な『おもちゃのショベルカー』が、黒い家を壊していた。

 

私たちは破壊されていく黒い家を、呆然と見ていた。

そんな中で、私は思った。

 

あの家の中で聞いた『声』の主は、

『黒い人型』なんじゃないのか―――?

 

そう考えれば、

あの家の中にあった、記憶の産物。

あれは『黒い人型』にとっては、見られたくないものだった。

だからそれを壊すために、今この状況ができている。

 

…………

私があの家の中で見た「写真立て」。

そこに写り込んだのは、私の知らない『家族』。

それを見たために『黒い人型』が来た。

 

しおり:「…………」

これで一つわかった。

 

あの『家族』は、『黒い人型』と関係している!

いや、それだけでなく―――、

アイツをなんとかできるための「カギ」だ!

 

 ようやく、希望が出てきた!!

 この謎に迫れば、

 きっと私たちは、助かることができるんだ!

 

私はこの『絶望』から、『希望』を見出すことができた。

 

 

私は一先ず、 春貴にこのことを伝えようとした。

しおり:「春貴、聞いて。 

 私たちを襲った、あの『黒い人型』のことなんだけど…」

しおり:「…っ!!」

私は話している途中で、言葉が切れた。

 

そうなったのも、 巨大化したおもちゃ。

あの黒い家を壊していたショベルカーだけでなく、巨大になったおもちゃはそれだけじゃなかったんだ。

 

少し遠くから、

巨大なクマのぬいぐるみが、こちらに迫ってきているのが見えた。

当然、クマのぬいぐるみだけじゃない。

その他の様々なおもちゃが四方から、迫ってきているのがわかる。

 

「(おもちゃたちがひとりでに動いてる!

 アイツ。 あの黒い人型が、このおもちゃたちを仕向けてるんだ!?)」

 

私と春貴は、その場で周りを何度も見て、

自分たちが置かれている立場を、改めて理解させられた。

四面楚歌。

 

この状況を見ればわかる。

あの『黒い人型』が、この場で私たちを殺す気でいることを。

アイツも本気なんだ。

 

私が感じた『希望』。

それはとても小さなものだっだ。

この再び訪れた『絶望』を切り抜けなければ、私たちが助かるなんて夢の話。

今だこれまで、ずっと求めてきた、

母にすら会えていないというのに―――!

 

春貴:「どうすんだよ…! これっ!」

しおり:「どうって…、 逃げるしかないよ!」

巨大化したおもちゃたちが、私たちに確実に近づいている。

春貴:「……っく!!」

しおり:「早く行こう! 囲まれちゃうっ!」

 

囲まれてしまっては、逃げることができない。

私はその場で戸惑っていた春貴を引っ張り、急いで逃げ出す。

今は逃げるしかない。

 

 だが、 

 ここからどうやって、永遠に続いているとも言える『悪夢』を、抜け出すことができるんだ!?

 その術は!?

 一体、どうすれば―――!?

 

私たちは、この森の中を走る。

 

 

【逃げ続けて―――】

 

一方向に二人で走るが、逃げた方向にも巨大化したおもちゃがいた。

四方から迫ってきていたのだから、どれかのおもちゃには必ず衝突することになる。

私たちが走る方向には、2体巨大おもちゃがいる。

1体は、木でできたチープな人形。

もう1体は、可愛らしいイモムシ型のロボット。

 

私たちはどうやって、あのおもちゃたちを切り抜けるか、考えながら走っていた。

そしておもちゃにまで近づき、一旦走るのをやめる。

春貴:「どうする!?」

しおり:「……っ!」

 

幸い、 アイツによって操られている巨大おもちゃたちは、動きがそれほど速いわけじゃない。

だから、全力で走って切り抜けることはできそうだった。

 

でも、 それは安易な考え。

近づいてから、おもちゃたちがどんな行動に出るか予測できない。

特にイモムシ型のロボットは、体が長いから走って切り抜けられるかわからない。

 

しおり「……っ」

私たちは一先ず、木の陰に隠れる。

春貴:「木を背にしながら行けば、切り抜けられるんじゃないか?」

しおり:「うまくいけばね…」

 

私たちは木の陰に隠れながら、おもちゃの様子を見る。

もう、私たちにだいぶ近い距離にいる。

私たちから見て、左側に木の人形。右側にイモムシ型のロボット。

 

しおり:「(切り抜けるとすれば、あの木の人形の方がいい!)」

 

私は直感的に考えた方法で、切り抜けることに決めた。

しおり:「あそこにある木にまた隠れるよ。

 木に隠れるのを何度かやって、アレから逃げよう!」

私は、左側に円を描くように回り込んで、木の陰に何度か隠れながら、

木の人形をうまく切り抜ける考えを春貴に説明した。

 

そして―――、

 

しおり:「行くよ!」

木の人形がある程度私たちに近づいた後、全速力で木の陰から出ていき、次の木に移ろうとした。

 

木の人形の方は、私たちに気付く。

頭の部分が、私たちがいる方向にグルンと回り、

それに合わせ、体の向きを変えながら片腕を振り上げた。

 

しおり:「…っ!!」

木の人形の振り上げた腕は、そのまま私たちめがけて振り下ろされる。

しおり:「(マズイッ!!)」

私たちは一瞬、その腕に反応して、立ち止まろうか迷った。

 

が、

私たちは立ち止まることなく走り抜け、木の人形の振り下ろしてきた腕を、回避できた。

やっぱり、木の人形の動きはそれほど速くはなかったから、避けようと思えば、十分避けることができた。

でも、 私たちが恐怖であそこで立ち止まっていたとしたら、あの手を避けられなかったかもしれない。

そう考えるとぞっとする。

 

私たちは走ってまた木の陰に隠れた。

しおり:「はあ、はあ、はあ、はあ…」

ここまではうまくいった。

だが、まだ危機は去っていない。

 

木の人形は、私たちが隠れた木のもとに近づいてくる。

「(またさっきみたいな方法で、切り抜けるしかないのか…!?)」

そう思った時、

春貴がとっさに、大きめの石を拾って、

それを私たちがこれから走る方向とは、別の方向に思い切り投げた。

 

ドスン…

少し距離が離れたところから、石が地面に落ちる音がした。

木の人形はその音に反応して、立ち止まる。

 

春貴:「……。  まだダメか!」

春貴はそう思って、もう一度石を拾って投げた。

今度は木に当てる。

地面に落ちた時よりも、聞きやすい音が鳴った。

 

木の人形はその音を聞いて、音がした方向に頭をグルンと回した。

春貴:「今だ!」

春貴は私に合図して、私たちは次の木に移るために走り出した。

 

一拍置いて、木の人形は再び私たちに向かってきた。

さっきよりも、木の人形から離れることができた。

 

それでも、木の人形が追いかけている状況だから、

私たちは焦らず、何度か木の陰に隠れる行動をしながら、

木の人形をまくようにした。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

…………

それから数分。

 

もう、 自分たちがどこにいるかなんてわからない。

とりあえず、木の人形からは、逃げることができたと思う。

でも、 おもちゃたちがどこから来るのか、どれほどいるのかわからない。

 

…………

私たちは依然、この森の中を走り続けていた。

 

今の私たちは、一度訪れた危機を回避しただけ。

自分たちが助かるための方法が、いまだ見つかっていない状況…。

 

当然、 母も見つかっていない……。

 

 

春貴:「……はあ、はあ、はあ…。

 もう、 ダメだ…」

春貴が疲れで、その場に膝をついた。

しおり:「はあ、はあ、はあ、はあ……」

さすがに、私もこれ以上は走れない。

 

春貴:「…………」

春貴の様子を見ると、

体力だけでなく、精神もだいぶ疲労しているようだった。

 

少しして、春貴が口を開き始めた。

春貴:「……やっぱり」

私は嫌な予感がした。

 

春貴:「やっぱり、 ダメじゃないか……」

私の予想通り、春貴があきらめに入った。

春貴:「ここまで来て…。  結局、お母さんにも会えないなんて……」

しおり:「…………」

春貴:「もう、本当に  終わりだ……。

 終わりなんだ…。  いくら逃げても、無意味だ……」

 

しおり:「…………」

私もちょうど、 

もう逃げるのは嫌になったところだ。

 

逃げても無駄。

逃げたところで、今の自分たちは

「出口のない迷路」を永久に彷徨っているようなものだ。

 

しおり:「…………」

だから、私は―――。

 

 

【敵に決着を―――】

 

しおり:「もう、 逃げるのはやめる…」

春貴:「…………」

 

しおり:「私は、アイツに―――」

アイツ。 黒い人型に。

 

しおり:「アイツにケリをつけたい」

春貴:「…………」

 

春貴は黙ったままでいる。

もう私の声掛けに、答えられるほどの気力もないのかもしれない…。

 

しおり:「だから、 春貴はもう…。 

 私に付き合わなくていいよ…」

しおり:「ここまで、無理をさせてごめん……。

 アイツに関しては、私の方が理解してるから……」

 

しおり:「だから、決着をつけたい。

 ……もう逃げない」

 

私は一息つく。

ここで春貴なら、私の言ったことに反発してくるはずなんだが、

今の春貴は限界な様子だった。

 

春貴は動けなくなったから、 ここで決着つける。

これ以上間引かせない。

あの黒い人型に、これまで散々逃げてきたんだ。

 

だから―――、

「ここにアイツを呼ぶ!」

 

 

『黒い人型』が私たちの前に出る条件。

それは『母』。

母のことを強く想うことで、それに反応してアイツは出てきた。

 

…………

アイツの正体は、いまだにはっきりしない。

 

ただ アイツは、

私が見た黒い家の中のあった、「写真立て」の中に写り込んだ『家族』。 

それに関係していることは間違いない。

それはわかってる。

 

でも、わかっているのはそれだけで、

アイツをどうにかする方法は見つかっていない。

…………

 

いや、 それでも

もう、ケリをつけることは決めたんだ。

 

今日、『悪夢』が始まったこと―――。

こんなことになる前の、母とリビングでの喧嘩。

そこからすべてが始まってしまった。

 

私がこの『悪夢』を、終わらすべきなんだ。

 

もしかすれば、

『アイツの弱点になるモノ』。 それは、私自身が持っているのかもしれない。

なら、 アイツをその場で倒すことができる可能性は、「0」じゃないはず。

 

無茶は承知だ……、 でも。

私自身が、 アイツを倒すための「カギ」となって、

この『悪夢』を終わらせたい!!

 

 

しおり:「…………」

私はその場に座り込んでいる春貴から、少し距離を取った後、

ゆっくり深呼吸をする。

 

そして、 右手を握って胸に当てながら、

母のこと強く想った。

ここからが正念場だ。

 

 「お母さん……」

 

私は母が今どうしているのか、考え始めた。

一拍置いた、その時だった。

 

 「「もう、その必要はない」」

 

しおり:「え?」

声が聞こえた。

 

「…………ん」

私がさっき聞いた声とは、違う声が後から聞こえてくる。

「…………ない」

この声は……、  春貴から?

「……ねえ、ちゃん…  …ない」

私は春貴の方を向こうとした。

 

春貴:「危ない!!」

私が春貴を見た時には、春貴は私に向かって走り出し、

そして、 私を突き飛ばした。

 

突き飛ばされたとき、

私の視界に、春貴と「大きなもの」が見えた。

 

その「大きなもの」は、春貴を突き飛ばしていた。

 

春貴はそのまま飛んでいき、近くにあった木に背中から思いきりぶつかる。

地面に体を打った後、春貴は気を失ってしまう。

 

春貴を突き飛ばした「大きなもの」とは、

巨大なクマのぬいぐるみだった。

 

 

【無力】

 

私は春貴に突き飛ばされ、地面をついてから周りを見たから、

私が見たのは、 巨大なクマのぬいぐるみがこの場にいることと、少し離れたところで春貴が倒れている光景だった。

 

しおり:「そんな……!?」

その光景を見て、すぐに理解できた。

 

私が黒い人型をこの場に呼ぶために、母のことを強く想っていた。

でも、やって来たのはアイツじゃなく、

この森の中をうろついていた巨大化したおもちゃの方だった。

 

その時現れたクマのぬいぐるみは、私を襲おうとして、

それを見た春貴は駆けつけて、私の身代わりになってしまったんだ。

…………

 

私は地面に座り込みながら、呆然とする。

しおり:「ウソ、 でしょ……。  春貴……」

 

私は体が震えていた。

「(どうしよう……。  私のせいで春貴が…!)」

アイツをこの場に呼ぶはずだったのに、こんな事態になってしまった。

 

クマのぬいぐるみがこっちを見る。

想定外のことに、私は動けずにいた。

肝心のアイツが来てくれなければ、 この『悪夢』に決着をつけられない。

あの黒い人型が来ないなんて……。

…………

 

いや、 違う……。

そんなはずはない!

アイツは来ている!

 

私が母のことを想っていた時に、声が聞こえた。

それはきっと、あの黒い人型の声だ!

 

アイツが来ていて、 

私と同じ考えでいるとしたら…。

この場で、 決着……!?

 

私はその場で周りを見た。

しおり:「…!」

見ると、やっぱりアイツはいた。

私と少し離れた距離でたたずんでいる。

 

そいつの姿を見て、再び声が聞こえた。

「「お前たちを、許さない」」 と。

 

 

しおり:「お、まえ……」

アイツの姿を見たことにより、私の心は「恐怖」よりも、

「怒り」が一気に沸き上がった。

 

しおり:「おまえェ……!  コノヤロォー!!」

 

私は黒い人型に向かって、怒りのままに、

そこら辺にある地面の石ころを手に取って投げつけた。

無謀にも、一回だけでなく、何度も拾っては投げつける。

アイツはそれらを避けたり、手で弾いた。

 

黒い人型に石が当たっている。

私たちの家の中にいた時は、攻撃を仕掛けても、

アイツの体を透き通ってしまい、攻撃しても無駄だった。

 

だが今、 この森、この世界に来て、

アイツに干渉できるようになったっていた。

 

けど、 私は「怒り」で冷静でいなかったから、そんなことは考えることができなかった。

 

しおり:「ふざけんなあーっ!!  お前は一体なんなんだよ!

 私たちがお前になにしたっていうんだ!」

しおり:「なにが『許さない』だ!

 そんなのこっちのセリフだあー!!」

 

私はアイツに向かって叫んだ後、

とっさに見つけた、手ごろな木の棒を掴んだ。

それを両手で強く握って、アイツに向かって走り出す。

しおり:「返せよ!! 私のお母さんを!」

 

「「うるさい!  黙れっ!!」」

黒い人型の怒りの声が発せられる。

その後、アイツの長い腕が横に大きく振られ、

その手で私が手に持っていた木の棒を、強く弾いた。

しおり:「あっ!」

よろめく私。

 

さらにアイツは、右から左に大きく振った腕を鞭のように折り返して、

その手を私の顔。右の頬に強く打ちつけた。

しおり:「ッ!!」

その強い衝撃に倒れ、私は地面を転がった。

 

頭がぐらついている。

そんな中、攻撃がこれで終わらず、

今度はその場に居合わせていた、巨大なクマのぬいぐるみが追い打ちをかけてきた。

意識が混乱している私に、クマのぬいぐるみがその大きな足で、私の体に蹴りを入れてきた。

 

幸いにも、 

ぬいぐるみなだけに、「蹴り」自体はそれほど痛くなかった。

でも、それで春貴を突き飛ばしたんだ。

 

私はその大きな足に持ち上げられ、その勢いで大きく投げ飛ばされた。

飛んだ私は、春貴と同じように、木に背中からぶつかった。

ぶつかった後、そのまま地面に体を打つ。

 

しおり:「がっ!  あ…、 ぐっ……!!」

私は激痛に、その場をのたうち回った。

春貴と同じ状況になってしまったけど、私の意識はまだある。

 

でも……。

ここで意識があったところで、

私一人であの黒い人型に、太刀打ちなんかできない。

さっきの攻撃を受けて、もうわかった。

 

「やっぱり、 挑むだけ無駄だったのかな……」

 

 

【母の存在】

 

気づけば、私もあきらめに入っていった。

…………

 

そりゃあ…、  悔しいよ。

「ふざけるな!」とも思う。

今までアイツに散々な目に遭わされたのに、最後までこのザマ。

 

悔しいけど…。 

もう、 どうしようもない。

どうしたらいいかわかんないよ……。

 

 お母さん……

 

私はこんな状況で、痛みに苦しみながら母のことを想った。

これで、最後かもしれなかったから……。

 

「お母さん…  ヒドイよ……」

 

「私も春貴も、こんな目に遭っているのに、お母さんはなにもしてくれないの? 

だいだい、どこにいるのさぁ……」

 

「もしかして、私のこと怒ってるから?  助けに来たくないの?」

「もう私たちのことなんか、どうでもいいの?」

 

「じゃあ…、 私は……」

「…………」

 

 

私の意識は消えようとした。

…………

 

 「「しおり」」

 

しおり:「…!」

母の声が聞こえた。

 

しおり:「……え。  …お母さん……」

『母の声』。

これは、 私の想いが母に届いたのか?

…………

 

いや。 これはきっと、「幻聴」だ。

こんな都合よく、母が語り掛けてくるなんて……。

こんな声が聞こえるなんて、

それほど私はもう、おかしくなってるんだ。

…………

 

 「「しおり」」

 「「春貴」」

 

少しして、また母の声が聞こえた。

しおり:「…………」

 

 「「しおり…   春貴…    

 ごめんね……」」

 

しおり:「…………」

しおり:「え…?」

 

私は顔をあげた。

「(…………。  この語り掛け方って……)」

 

そう、 今私の前にいる、あの黒い人型のように―――、

頭の中に直接声が届くような感覚。

 

なら、 どうして母が今私に語り掛けてる?

母の声が私に届くなんて、今までそんなことなかったのに……。

なんで今になって―――?

 

この場に居合わせてるのは、

私と春貴に、巨大化したクマのぬいぐるみ。 そして、黒い人型。

…………

この場で、声を発せられるのは―――?

 

しおり:「…………」

私に届いた母の声。

それは、 黒い人型が言葉を発した時と、

同じような感覚で聞こえた。

 

しおり:「!」

私はハッとした。 

そして、気づいてしまった。

 

しおり:「ウソ、 だよね……」

私は黒い人型を見る。

 

しおり:「お母さん……」  

しおり:「そこにいるの―――?」

 

 

 

外見がいい者は、周りから人が寄ってきていいよなあ…。【外見至高世界】

 

見た目がいい奴は、それだけで得をするよね。

イケメン・美女であれば、その辺でちゃらんぽらんしてるだけでも人が寄ってくる。

 

お金が欲しいと感じれば、すぐにバイトとかできて、欲しいものが買える。

周りに人がいるから、自分の好きなものとかすぐ共有できたりするし。

 

なによりも、自分の心のままに好きに生きられる。

人生を楽しくしようと望めば、それが叶えられるんだよね。

 

 

ペットだってそう。

外見さえよければ、それで可愛がってもらえ、大切に扱われる。

病気などになってるときは、みんなから心配してもらえる。

 

外見が可愛い動物は、愛されるんだよね。

 

 

 

じゃあ、その逆の

見た目が悪い奴は違う。

 

努力したり、人を魅了するモノを持ってなければ、信頼できる人は寄ってこない。

努力が足りてないと思われれば、すぐ「努力しろ」と言われる。人の気も知らないで。

 

また、見た目が酷すぎれば、見た目から入って嫌われ、誰からも相手にされない。

努力なんて関係ない。

ただただ、周りから「消えろ」と思われる。

死んだとしても、それさえ「ネタ」とされる。

馬鹿にされたり、見下されるのは当たり前。悪口・陰口も当たり前。

外見から入って、「ゴミ」か「クズ」扱い。

 

学生から社会人になっても、なににおいても不利。

就職活動なんて馬鹿らしい。

 

とにかく生きづらい。

生活がままならない。

 

こっちから相手に何もしてなくても、あっちから外見弱者の心も人生もボロボロにしてくる。 

 

ただただ、憎しみが募る。

 

こんな結果になって生きていくくらいなら、いっそこんな世界に生まれてこない方が幸せだよね。

 

 

よって、ブス・ブサイクは子孫なんか残すんじゃねえ。

ホントに、馬鹿だよな。